ADAMS

ADAMS（アダムス）とは

ADAMS（アダムス、TV-Asahi Data And Multimedia Service：テレビ朝日データ&マルチメディアサービス）は、ANN系列のフルネット局で実施されていたアナログテレビ向けのデータ放送サービスの総称です。テレビ朝日がNTTと共同開発したDataWave技術を基盤としていました。

技術概要

DataWaveでは、アナログテレビの垂直帰線区間（10H - 13H）を利用してデジタルデータを伝送していました。1本のラインあたり22バイトのデータを送信でき、1フレームあたり4本、NTSC方式では1秒あたり60フレームが送信されました。これにより、最大伝送レートは5280バイト/秒（42240bps）を実現していました。

サービスの種類

ADAMSでは、伝送するデータの用途に応じて、主に以下の3つのサービスに分類されていました。

ADAMS-P：パソコン向けのデータ放送。HTML、画像、Flash動画などのコンテンツを提供し、ブラウザでの閲覧が可能でした。
ADAMS-EPG：地上波・アナログ衛星放送の番組表（EPG）データを提供。最大8日分の番組情報を配信していました。
ADAMS-EPGPlus：ADAMS-EPGの番組表データをインターネット経由で配信するサービス。ケーブルテレビなどで他地域のテレビ局を受信している場合や、番組表をより早く入手したい場合に利用されました。

これらの他にも、ADAMS-T（テレビ受像器向け）、ADAMS-M（モバイル端末向け）、ADAMS-N（カーナビゲーション向け）といったサービスも検討されましたが、実際に放送されることはありませんでした。

各サービスの詳細

ADAMS-P

ADAMS-Pは、1997年6月にテレビ朝日で開始され、1998年4月にはANNの全系列局で配信が始まりました。データ受信に時間がかかるという課題があり、ブロードバンド網の普及とともに存在意義を失い、2007年4月7日にサービスを終了しました。

ADAMS-EPG

ADAMS-EPGは、1998年8月に配信を開始。番組表データは日刊編集センターから提供され、暗号化されたテキスト形式で配信されていました。当初は大都市圏で8日分、その他の地域で2日分の配信でしたが、2005年7月からはほぼ全国で8日分の配信となりました。当初は松下、NECなどの製品で採用されていましたが、競合するGガイドの普及に伴い、採用するメーカーが減少し、最終的には東芝のみが採用していました。地上デジタル放送への移行により、2011年7月24日（東北3県を除く）、2012年3月31日（東北3県）をもってサービス終了しました。

ADAMS-EPGPlus

ADAMS-EPGPlusは、インターネット経由で番組表データを提供するサービスで、ADAMS-EPGとは異なり、ANN系列局がない地域の放送局の番組表も取得可能でした。地上アナログ放送の終了とともに、2011年7月24日（東北3県を除く）、2012年3月31日（東北3県）をもってサービスを終了しました。

その他のデータ放送

ADAMS以外にも、DataWave技術を利用したデータ放送サービスが存在しました。

CLARK：北海道テレビ放送が提供していたデータ放送。ADAMS-Pのデータに加え、北海道の地域情報も提供していました。2006年2月28日にサービスを終了しました。
データイレブン：メ〜テレが提供していたデータ放送で、メ〜テレの親局チャンネル番号にちなんで名付けられました。

サービス終了

ADAMSは、地上デジタル放送への移行に伴い、その役目を終えました。2011年7月24日にほとんどの地域でサービスが終了し、東日本大震災の影響でアナログ放送が継続されていた岩手県、宮城県、福島県においても、2012年3月31日に全てのサービスが終了しました。

関連技術・サービス

テレビ朝日データビジョン：テレビ朝日のデータ放送関連部門。
データ多重放送：テレビ放送の電波にデータを重ねて送信する技術。
ビットキャスト：データ放送サービスのプラットフォーム。
垂直帰線区間：アナログテレビの映像信号の空白部分を利用したデータ伝送技術。

外部リンク

テレビ朝日データビジョン公式サイト - インターネットアーカイブより

ADAMSは、アナログ放送時代における重要な情報伝達手段の一つであり、その技術とサービスは、今日のデジタル放送の発展に繋がるものでした。

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