AEC装甲車

AEC装甲車：第二次世界大戦のイギリス軍を支えた重装甲車

第二次世界大戦下、イギリスのAEC社（Associated Equipment Company）は、戦況を打破すべく、重装甲車の開発に挑みました。その結果生まれたのが、AEC装甲車です。トラックやバスの製造で知られていた同社が、既存の技術を活かし、戦車に匹敵する火力と防御力を備えた装甲車の開発に成功したのです。

開発と配備

AEC装甲車の開発は1941年、サウスオール工場で秘密裏に進められました。試作車はロンドンの近衛兵のパレードで公開され、ウィンストン・チャーチル首相にも認められました。その高い評価を受け、1942年から1943年にかけて、629両ものAEC装甲車が生産されました。

最初のモデルは、バレンタイン歩兵戦車の砲塔と2ポンド砲を搭載していました。その後、より強力な6ポンド砲や75mm砲を搭載した改良型が開発され、火力の大幅な強化を実現しました。さらに、2挺の機関銃、煙幕弾投射器、無線機も装備され、戦闘における汎用性を高めています。

1942年末、北アフリカ戦線で実戦投入されたMk.I型を皮切りに、Mk.II型、Mk.III型がイギリス陸軍と英印軍に配備されました。スタッグハウンド装甲車と共に、ヨーロッパ戦線でも活躍し、連合軍の勝利に貢献しました。

バリエーションと派生型

AEC装甲車は、いくつかのバリエーションが存在します。

Mk.I型: バレンタイン戦車の砲塔を搭載した最初のモデル。129両が生産されました。
Mk.II型: 6ポンド砲を搭載した改良型。車体前部を再設計し、AEC197ディーゼルエンジンを搭載することで、より強力な戦闘能力を実現しました。
Mk.III型: Mk.II型をベースに、75mm戦車砲を搭載した近接支援装甲車。
AA型: クルセーダー対空戦車の砲塔に、エリコン20mm機関砲を2連装で搭載した対空型。しかし、連合軍の航空優勢により、量産には至りませんでした。

終戦後とその後

終戦後も、AEC装甲車はFV601サラディン装甲車に代替されるまで、イギリス軍で運用され続けました。レバノン軍も1976年まで使用していたという記録が残っています。これは、AEC装甲車が持つ高い信頼性と実用性を示すものです。

ゲームへの登場

AEC装甲車は、ゲーム『War Thunder』にも登場します。プレイヤーは、この名車を通して、第二次世界大戦におけるイギリス軍の戦いを疑似体験できます。

まとめ

AEC装甲車は、第二次世界大戦におけるイギリス軍の戦力として重要な役割を果たしました。その高い信頼性と実用性、そして様々なバリエーションは、戦後の軍隊にも受け継がれ、長きにわたって活躍を続けました。戦車に匹敵する火力と防御力を備えたAEC装甲車は、イギリス軍の戦車部隊を強力に支援し、連合軍の勝利に貢献した、まさに大戦を象徴する装甲車と言えるでしょう。

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