AG-600 (航空機)

AG-600 - 鯤竜

AG-600は、中国航空工業集団の傘下の中航通用飛機が開発した多用途飛行艇であり、愛称は「鯤竜」です。これは主に救難、消火、そして海洋調査に使用されることを目的としています。水陸両用の性能を持ち、本格的なランディングギアを装備していることが特徴です。

概要

この飛行艇は2008年に発表され、1970年代中盤に開発された水轟五型(SH-5)の後継機として位置付けられています。AG-600は海洋での救難任務に限らず、改造により空中消火や海洋調査機能も備えています。この機体は最大12時間の滞空が可能で、航続距離は4,500kmに達します。また、2メートル以上の波にも対応した着水能力を持つため、幅広い海域での運用が可能です。搭載可能な人数は最大50名で、屋外における治療に利用できる大型救急機器も搭載できます。

空中消火作業においては、水上を滑走しながら20秒以内に12トンの水を機内タンクに給水することができます。機体の95%を国産部品で製作しているものの、エンジンはウクライナのイーウチェンコ設計局によるライセンス生産です。

開発状況

2009年1月、中国の大手銀行10行から合計1,760億人民元の融資が発表され、これを受けてJL-600の開発が始まりました。この新型機は珠海市に新たに設立されるバイバイ工場にて、総額30億人民元を投資しながら製造されています。2011年には2015年に初飛行を予定しているとされ、最大離陸重量や実用航続距離が公表されました。

2014年7月には設計が完了し、プロトタイプの製造が開始され、2016年7月には初飛行試験機が完成しました。2017年12月には陸上初飛行を成功させ、その後の水上試験にも順調に移行しました。2022年の5月には、消火・救難型の改良機が初めての飛行を行い、順調に運用試験が進められています。

配備・運用

AG-600は様々な用途に導入される計画が進行中で、公安部、交通部、林業部がそれぞれのニーズに応じて採用を検討しています。また、中国海軍も老朽化したSH-5の後継機としてAG-600の導入を視野に入れています。具体的には南シナ海での活動における物資の輸送や人員の移動に活用されると言われています。

2015年4月にはすでに17機が受注され、海外の島国たちからも関心が寄せられています。具体的にはマレーシアやニュージーランドのような国々が、AG-600の購入を検討しているとの情報もあります。

仕様

• - 定員: 50名
• - 全長: 37.0m
• - 全高: 12.1m
• - 翼幅: 38.8m
• - 空虚重量: 32,000kg
• - 最大離陸重量: 53,500kg
• - 動力: WJ-6 ターボプロップエンジン×4(合計: 3,805 kW)
• - 最大速度: 570km/h
• - 航続距離: 4,500km
• - 実用上昇限度: 10,500m
• - 離陸滑走距離: 水上で1,500m、陸上で1,800m
• - 運用可能最大波高: 2.8m
• - 搭載消火用水: 12t

このAG-600の開発は、今後の災害救助や環境保護活動において、重要な役割を果たすことが期待されています。

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