AGM-65 マーベリック

AGM-65 マーベリック

AGM-65マーベリック（AGM-65 Maverick）は、アメリカの空対地ミサイルの一群であり、その設計と開発は航空攻撃の精度を高めるための重要な進化を示しています。不規則な動きや目視による誘導が必要である旧式ミサイルの問題を克服するために、AGM-65は新しい誘導システムを用いてその性能を大幅に向上させました。

開発経緯

AGM-65が初めて登場したのは、1965年のことで、これは当時の主力空対地ミサイルであるAGM-12ブルパップやAGM-62ウォールアイの後継として開発されました。AGM-12は無線指令誘導方式を採用し、高い命中率を誇りましたが、操縦者の視力や操縦技術に依存するため、特に小型目標に対しては使用が困難でした。

これに対し、ウォールアイはビデオカメラによる誘導を行うことで、発射後すぐに母機が回避行動を取れるようになり、長射程を確保しましたが、誘導爆弾に近い性質を持つため、より遠距離の攻撃には限界がありました。

このような背景の中、AGM-65マーベリックの開発が進められました。1972年には、その初期型であるAGM-65Aが空軍に納入されると、すぐに戦闘任務での試験運用が行われました。

AGM-65の特徴

AGM-65の最大の特徴は、その誘導方式にあります。AGM-62のビデオカメラ誘導に加え、AGM-65は搭載された赤外線センサーを通じて目標を捉え、パイロットが攻撃目標をロックオンすることで自動的に目標へ向かいます。この新しい誘導方式により、命中率を向上させつつも、攻撃機が発射後すぐに安全区域に退避できるように設計されています。

その形状も特徴的で、コンパクトでありながらも済みやすさを持つため、1機のキャリッジに最大3発装着することが可能です。特にA-10攻撃機では最大14発の装備が可能と、かなりの攻撃力を誇ります。

AGM-65Aは1973年にイスラエル国防軍に展開され、80％の命中率を記録し、その高い効果性から、米海兵隊などにも採用されることとなりました。

基本型と派生型

AGM-65には多くの派生型があります。AGM-65Bは目標画像拡大機能を追加したもので、AGM-65Dは赤外線センサーを搭載。さらにE型は改良されたロケットモーターにより射程を延伸しました。F型は艦船目標向けに特化されたバージョンで、H型は新たにCCD型センサーを搭載したミサイルです。これらの各型により、特定の戦術ニーズに応じた柔軟な対応が可能です。

運用と実績

湾岸戦争の「砂漠の嵐」作戦では、F-16やA-10がAGM-65を使用し、イラク軍に対して大きな戦果を上げました。AGM-65用の発射機であるLAU-117は、海軍および空軍の幅広い機体に搭載されています。

海外での運用と文化的影響

映画やゲームでもAGM-65は多く取り上げられ、例えば『アイアン・イーグル』や『トゥルーライズ』などでその存在を知られています。さらに、航空自衛隊のフィクション作品やゲームにおいた使用例も多く、AGM-65の認知度を高めています。

このように、AGM-65マーベリックはその登場以来、短期間で大きな進化を遂げ、多くの運用実績を残してきました。空対地ミサイルとしての役割を果たし続け、未来の戦闘においても重要な武器として期待されています。

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