AIM (人工衛星)

AIM（Aeronomy of Ice in the Mesosphere、中間圏氷の航空学）は、NASAがSMEX（小型探査ミッション）プログラムの一環として開発した人工衛星です。その主な目的は、地球の大気圏内で最も高い位置に形成される雲である夜光雲（極中間圏雲とも呼ばれる）を観測し、その生成メカニズムを解明することにあります。

2007年4月25日、AIMはロッキード L-1011航空機からペガサスXLロケットによって空中発射され、高度約600kmの極軌道に投入されました。当初の運用期間は26ヶ月と計画されていましたが、その後の観測成果や衛星の状態を考慮し、運用期間は2012年9月まで延長されました。この期間中、AIMは夜光雲の観測データを収集し、科学的な分析に貢献しました。

夜光雲は、他の雲とは異なり、非常に高い高度約80kmの中間圏に発生します。この高度は、通常の雲が発生する対流圏よりもはるかに高く、大気の状態も大きく異なります。夜光雲の形成には、極低温の気温、水蒸気の存在、そして微細な塵粒子が不可欠であると考えられています。AIMはこれらの条件を詳細に観測することで、夜光雲の生成メカニズムの理解を深めることを目指しました。特に、夜光雲がどのようにして形成され、どのような条件で発生しやすいのか、その詳細なデータを収集することに焦点を当てました。

夜光雲は、1885年に初めて観測された比較的最近発見された現象です。当初はまれな現象と考えられていましたが、近年、その発生頻度が増加していることが報告されています。この発生頻度の増加の背景には、地球温暖化や大気中の温室効果ガスの増加など、様々な要因が関係している可能性が指摘されています。AIMによる観測データは、夜光雲の変動を正確に捉え、その発生頻度増加のメカニズムを解明するための重要な手がかりとなることが期待されました。

AIMの観測データは、夜光雲の形成メカニズムを解明するだけでなく、地球大気の研究にも貢献しました。中間圏は、地球大気の中でも観測が難しい領域であり、その詳細なデータは気象学や大気科学の分野において非常に貴重です。また、夜光雲の観測を通じて、地球温暖化がもたらす大気への影響を評価する上でも重要な情報を提供します。AIMのミッションは終了しましたが、そのデータは現在も研究者によって分析され、新たな発見につながっています。AIMは、夜光雲という不思議な現象の理解を深めるだけでなく、地球環境の研究にも大きな貢献を果たしたと言えるでしょう。

外部リンク

AIM Satellite Mission

もう一度検索