AKIRA (漫画)

AKIRA (アキラ)

概要

『AKIRA』は、大友克洋によって作られた日本の漫画作品で、1982年から1990年にかけて講談社の雑誌『週刊ヤングマガジン』で連載されました。1988年にはアニメ映画としても制作されました。この作品は、第三次世界大戦後の日本を舞台にしており、超能力者を巡る軍と反政府勢力、不良少年たちの抗争を描いています。

この作品は、超能力の可視化や近未来的な退廃、崩壊を描き出すことで高い評価を受け、国内外に多くのファンを生み出しました。1980年代を代表する漫画として、ストーリーだけでなく、アートやファッションなどのサブカルチャーにも大きな影響を与えています。アニメにおいても、作品の影響は計り知れません。

作品の影響

『AKIRA』は、日本の漫画やアニメが国際的に認知されるきっかけとなりました。かつて子供向けと見なされていたジャンルの漫画が、世界的に評価される足がかりを築いた作品でもあります。1980年代後半には日本の漫画とアニメ両方が海外に輸出され、アメリカやイギリスのクリエイターたちに衝撃を与えました。

特に、アメリカでは『ウォッチメン』や『バットマン: ダークナイト・リターンズ』など、複雑な人間関係や暗いテーマが含まれるグラフィックノベルの流れと同期して、作品としても注目されました。このような背景の中、1988年に発表された『AKIRA』は、アメリカのマーベル・コミックスから刊行され、より多くの人に知られることとなりました。アニメ映画の公開を通じ、口コミで話題が広まり、日本を代表する文化としての位置付けを確立しました。

さらに、『AKIRA』の影響は映画や音楽、ファッションと多岐に渡り、米国の作品やアーティストにも触発しています。例えば、2012年のアメリカ映画『クロニクル』では、多くの観客がこの作品の影響について言及し、監督であるジョシュ・トランクもファンであると公言しています。

ストーリー

物語の始まりは1982年の東京、不幸な爆発により崩壊した都市が舞台です。2019年には新たに建設された「ネオ東京」で、主人公の金田が仲間たちとともにバイクチームを組織し、旧市街をライディングします。

そこで、異常な能力を持つ少年タカシとの出会いが運命を大きく変える契機となります。タカシとの接触によって、金田の幼友達である鉄雄の中で超能力が目覚め、彼の人格が変貌していく様子が描かれています。やがて物語は、暴力的な状況や敵同士の抗争へと発展していきます。金田と鉄雄、そしてアキラを巡る争いは、様々な勢力が結びつき、混沌としたネオ東京の未来に大きな影響を与えます。

受賞歴

『AKIRA』は、漫画界で数々の賞を受賞しました。1984年に講談社漫画賞、1992年にはアイズナー賞の最優秀彩色部門を受賞。2002年にはアイズナー賞で最優秀アーカイブプロジェクト部門と国際作品部門の2つを受賞しました。

制作の背景

制作は『ヤングマガジン』創刊初期に始まり、大友は自身の作品を短期間で仕上げるつもりでしたが、連載が続くにつれ、その人気は意外にも高まりました。

作品の元となるのは、中編漫画『Fire-ball』です。大友は新たに作り直すことを決意し、超能力をテーマとしたこの壮大な物語が誕生しました。また、中盤以降のストーリー展開の自由度は、過去の経験や他の作品の影響も受け、独自のリズムが形成されました。

作品の舞台が東京である理由について、大友は自身の愛着を語り、豊かな実験的な世界を創造しようとしたと述べています。特に、戦後の東京の再建や混乱を描写し、視覚的かつ感情的なメッセージを伝えようとしました。

『AKIRA』は、ただの作品ではなく、その文化的な影響を通じて、語り継がれるべき偉大なストーリーです。それは、今もなお我々に新たな思索を促し、未来の可能性を感じさせてくれる力を持っています。

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