ALGO!

ALGO!（アルゴ）

『ALGO!』（アルゴ）は、荻野真による日本のSF漫画作品。『週刊ヤングジャンプ』（集英社）にて1989年45号から1990年37号まで連載されました。全33話で、単行本は全3巻が刊行されています。

概要

本作は、荻野真が当時連載していた『孔雀王』を一時休載する間に描かれた作品です。作者自身が家庭用ゲーム機に飽き足らず、ファミリーコンピュータの改造やゲーム基板収集のために秋葉原へ頻繁に通っていた経験から、これらのアイデアを盛り込み、時代を先取りするような新しい作品として企画されました。

しかし、連載当時はまだ一般家庭へのパソコン普及率が低く、読者の多くがパソコンに触れたことがない時代。そのため、『ALGO!』は内容が理解しにくい、横文字が多くて馴染めないなど、読者からの評判は芳しくありませんでした。結果として、連載開始から1年を待たずして、編集部から『孔雀王』の再開を命じられ、本作は打ち切りという形で終了を迎えることになります。

連載終了から半年後には、ある制作会社から本作と酷似したアニメ作品やドラマが発表されたことから、荻野真は自身のアイデアが決して的外れではなかったと述べています。

あらすじ

物語は、主人公である基町走太郎（通称：ラン）が、秋葉原の馴染みの店で奇妙なゲーム基板を発見するところから始まります。その基板から「ALGO」という謎のメッセージを受け取ったランは、幼馴染みの理沙とともに、その基板を狙う謎の刺客たちに追われる身となります。

基板の中に潜んでいた異形の騎士「アルゴ」の力によって危機を脱したランたちは、やがてコンピューターの向こう側にある別世界「電脳世界」の存在を知ります。そして、その電脳世界が自分たちの世界を侵略しようとしているという事実を知るのでした。

登場人物

基町 走太郎（もとまち そうたろう）

主人公。通称ラン。東京の私立高校に通う少年。両親は不在がちで、ほぼ一人暮らしのような生活を送っています。根っからのゲーム好きで自称一流ゲーマー。学校を抜け出しては秋葉原でゲームに熱中しています。秋葉原の店で手に入れた謎の基板からアルゴと出会い、電脳世界との戦いに巻き込まれていきます。

アルゴ（ALGO）

ランが入手した基板に潜んでいた異形の騎士。電脳世界の生物であり、その世界では「世界を地獄に変えた悪魔」として恐れられています。電脳世界と人間世界を自由に行き来する能力を持ちますが、かつて電脳世界での戦いに敗れ、人間世界へと逃れていました。

秋川 理沙（あきかわ りさ）

ランの幼馴染み。両親が不在がちなランにとって、お目付け役のような存在です。ランが基板を入手した際にアルゴのメッセージを受け取ったことから、共に電脳世界に追われる身となります。

軍部（ぐんべ）

秋葉原電気街の老舗・軍部電機商会の店主。ランからは「軍部の親父」と慕われています。以前から電脳世界の存在を知っており、秋葉原六部衆と呼ばれる仲間たちと共に、密かに電脳世界との戦いを続けていました。

増幅（ますぞえ）

ランたちの同級生の女生徒。アルゴを追って、関係者とみなした理沙を執拗に狙います。実は電脳世界に身も心も乗っ取られた「端末者（ターミナル）」と呼ばれる刺客の一人です。

蟻元（ありもと）

ランたちの高校のコンピューター教師。理沙たちからは「バグ」と呼ばれて嫌われています。増幅と同じく「端末者（ターミナル）」の一人で、アルゴを狙ってランたちに魔の手を伸ばします。

MAYU（マユ）

物語中盤の主要人物。人気絶頂の女性アイドル歌手。日本中のほとんどの男性が彼女に夢中になるという、異常ともいえる現象を巻き起こしています。プロフィールは一切不明で、その裏にはアルゴにも似た秘密が隠されています。

カイロ

物語終盤の主要人物。中東の某国の王子。外交官特権を利用して秋葉原のゲームセンターを襲撃し、最新ゲームや高価なゲーム筐体を次々と奪っています。ランと同等の腕前を持つゲーマーでもあります。

書誌情報

荻野真『ALGO!』集英社〈ヤングジャンプ・コミックス・スペシャル〉、1990年。 全3巻。

1990年10月25日発行（1990年10月1日発売）、ISBN 978-4-08-861851-7
1990年11月25日発行（1990年11月1日発売）、ISBN 978-4-08-861852-4
* 1990年12月18日発行（1990年12月1日発売）、ISBN 978-4-08-861853-1

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