荻野真

荻野真：オカルトとSFを融合させた漫画家

荻野真（おぎの まこと）は、1959年5月26日に生まれ、2019年4月29日に59歳で亡くなった日本の漫画家です。岐阜県出身の荻野は、その作風において、密教、神道などをモチーフとしたオカルト風伝奇アクション漫画家として広く知られています。

生い立ちと初期のキャリア

岐阜県立恵那高等学校を卒業後、名古屋大学理学部に進学するも中退。大学在学中は漫画研究会に所属し、後に小説家となる森博嗣と親交を深めました。しかし、大学生活は不遇であり、同人誌仲間との関係も疎遠になるなど、苦しい時期を過ごしたようです。藁にもすがる思いで漫画の原稿を出版社に持ち込んだところ、小学館では酷評されたものの、ヤングジャンプ編集部で田中純に才能を見出され、その後の漫画家としての道を歩むことになります。

政岡としや、釋英勝、もりたじゅんなどのアシスタントを経て、様々な経験を積みました。

『孔雀王』の大ヒットと作風の変化

デビュー作であり、長期連載となった『孔雀王』は、「宗教漫画ブームのはしり」と評され、荻野の名を一躍有名にしました。しかし、『孔雀王退魔聖伝』以降の作品では、物語が広がりすぎて収拾がつかなくなる傾向も見られました。特に『孔雀王曲神紀』ではその傾向が顕著であり、終盤にはバンド同士の歌合戦が繰り広げられるなど、異質な展開を見せ、集英社から打ち切りを宣告されるという事態も経験しました。しかし、その後は作風を転換し、作劇の破綻は少なくなりました。

人となりとメディアミックスへの不信感

厳格な両親を持つ荻野は、漫画家になることを告げた際、母親から涙ながらに反対され、父親からは「エロ漫画と不良物（暴力）だけは絶対に描くな」という条件を出されたそうです。しかし、皮肉なことに、荻野の得意分野はまさにその二つであり、葛藤を抱えながら創作活動を続けていたことが伺えます。

代表作である『孔雀王』は、実写映画やOVA、ゲームなど様々なメディア展開が行われましたが、荻野自身は後年、メディアミックスに対して不信感を抱いていたようです。その理由は、メディアミックスを重視した作品が増加したことで漫画業界が変化し、コミカライズを担当する漫画家が不遇な扱いを受けている現状を憂慮していたためです。連載漫画家の収入が自身のデビュー当時の収入の半分にも満たない状況を嘆いていました。

晩年

2015年には体調を崩し、一時入院するも、その後は連載を再開しました。しかし、2019年4月29日、腎不全のため59歳という若さでこの世を去りました。

荻野真は、オカルトとSFという異なるジャンルを融合させ、独特な世界観を構築した漫画家として、その作品は今も多くのファンを魅了し続けています。

主な作品

孔雀王シリーズ
ALGO!
夜叉鴉
小類人（ちゃいるど）
* 拳銃神

もう一度検索