ANZAC XV

ANZAC XV（アンザック・フィフティーン）

チーム概要

ANZAC XVは、オーストラリアとニュージーランド、両国のナショナルチームでプレーする資格を持つ選手によって特別に構成されるラグビーユニオンの混成チームです。通常の国代表チームとは異なり、オーストラリアとニュージーランドのトップ選手が一時的に結集するという、その編成形態に特色があります。このチームは、これまでのところ、世界的な強豪であるブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズとの対戦という、特別な機会に編成されてきました。これは、オーストラリアとニュージーランドのラグビー界が共有する歴史的絆と連帯を示すシンボル的な存在と言えます。

名称の由来と歴史的背景

チーム名の「ANZAC」は、第一次世界大戦中に組織されたAustralian and New Zealand Army Corps（オーストラリア・ニュージーランド軍団）に由来しています。この軍団は、オーストラリアおよびニュージーランド出身の志願兵で構成され、特に第一次世界大戦における彼らの貢献は、両国の歴史において重要な意味を持っています。チーム名に「ANZAC」を用いることは、軍団の勇気と犠牲を称えるとともに、オーストラリアとニュージーランドが国家として、また国民として共有する深い歴史的繋がりをラグビーのフィールドで表現することを目指しています。

初めての対戦：1989年

ANZAC XVが初めて編成され、実戦を行ったのは1989年6月1日でした。この日、チームはオーストラリアへ遠征中だったブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズと、シドニー・フットボール・スタジアムで対戦しました。

この時のANZAC XVの選手構成には特徴がありました。当初は両国からバランス良く選手が選出されることが期待されていましたが、実際にはニュージーランドからの参加選手はわずか3名にとどまり、大半がオーストラリアの代表クラスの選手で占められる結果となりました。それでも、両国の誇りを胸にライオンズに挑みましたが、試合は接戦の末、ANZAC XVが15対19のスコアで敗れました。この一度きりの対戦は、ANZAC XVという特別なチームの歴史の始まりとして記録されています。

36年ぶりの再結成：2025年へ

1989年の対戦以降、ANZAC XVが再び編成されることはありませんでしたが、2025年に36年の時を経てその活動が再開されることが決定しました。

2025年の編成も、ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズのオーストラリア遠征の一環として行われます。この記念すべき対戦は、2025年7月12日に開催される予定です。なお、この度のチーム名称は、過去の「ANZAC XV」から変更され、「Invitational Australia & New Zealand（インビテーショナルAU & NZ）」という新たな名称が用いられることになりました。

このInvitational Australia & New Zealandチームの指揮官には、オーストラリア代表の次期ヘッドコーチを務めることが決定しており、スーパーラグビーのクイーンズランド・レッズを率いるレス・キス氏が就任します。両国のトップタレントが再び集結し、世界的な強豪であるライオンズに挑む2025年の対戦は、オーストラリアとニュージーランドのラグビー界にとって、そしてファンにとって、非常に注目される歴史的な一戦となるでしょう。これは、ライオンズツアーにおけるテストマッチとは異なる形式で行われますが、その象徴的な意味合いは非常に大きく、両国のラグビーにおける特別な関係性を示す機会となります。

ANZAC XVまたはInvitational Australia & NZのようなチームが編成されること自体が稀であり、これはオーストラリアとニュージーランドという二つの国が、ラグビーというスポーツを通じて連帯し、共通の歴史や精神を称える特別なイベントであると言えます。

もう一度検索