AN/ALQ-144

AN/ALQシリーズ：赤外線誘導ミサイル妨害装置の概要

AN/ALQ-144、AN/ALQ-147、AN/ALQ-157は、アメリカで開発された赤外線誘導ミサイル妨害装置（IRCM）です。これらの装置は、1970年代にサンダース・アソシエイツによって開発され、主に赤外線誘導式の地対空ミサイルに対する防護として使用されています。特に、9K32 ストレラ-2など、赤外線に基づくミサイルから航空機を守るための重要な技術です。

デコイとフレア

従来の手法として使用されるデコイとしてのフレアは、初期の赤外線誘導ミサイルに対する防御手段として一定の効果がありましたが、その効果は短時間に制限されており、連続的な脅威に対しては不十分でした。特に危険な地区で低速飛行を強いられる航空機にとって、大量のフレア投下が求められるため、より持続的な防御手段が必要とされました。

IRCMの必要性

この背景から、IRCMが必要とされました。これらの装置は、目標に対して持続的に防御を提供し、航空機が発射されるミサイルからの脅威に立ち向かうための強力な手段となります。AN/ALQ-144とAN/ALQ-147は1981年にアメリカ軍に配備され、3000個以上が使用されているとされています。さらに、世界19カ国で合計6000個以上が運用されています。

AN/ALQ-144とAN/ALQ-147の構造

AN/ALQ-144とAN/ALQ-147は、加熱された炭化ケイ素ブロックを利用しており、これにより強い赤外線を放射します。赤外線の放出は、円筒形のシャッターによって制御され、赤外線がパルス状に放出される仕組みとなっています。この赤外線のパルスは、ミサイルのロックオン信号を妨害し、発射そのものを阻止することが可能です。また、発射後でも、ターゲットが外れているとミサイルの誘導システムを誤解させ、航空機を守る役割を果たします。

技術の進歩と対応

時間が経つにつれ、第2世代の赤外線誘導ミサイルの登場に伴い、既存のIRCMの効果は減少していきました。しかし、AN/ALQ-144とAN/ALQ-147はアップグレードによりその効果を再確認しています。特に1991年の湾岸戦争では、AN/ALQ-144Aの供給が急がれ、これにより当時のイラクでの赤外線誘導ミサイルの脅威に対処しました。

AN/ALQ-157の特徴

一方で、AN/ALQ-157はローレル社によって製造され、航空機の両側をカバーできる赤外線放射器を備えています。この装置は、マイクロプロセッサによって制御され、5つの異なる放射パターンを持ち、用途に応じた柔軟な対応が可能です。
このように、AN/ALQシリーズは航空機の安全を確保するための重要な役割を果たしています。また、AN/ALQ-144はその独特な外観から「ディスコライト」や「ミラーボール」と称されることもあります。

まとめ

AN/ALQ-144、AN/ALQ-147、AN/ALQ-157は、現代の空中戦において航空機を守るために欠かせない赤外線誘導ミサイル妨害装置です。これらの技術は、不断の進化を続け、航空機に対する新たな脅威に立ち向かうための強力な武器となっています。

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