9K32

9K32 ストレラ-2について

9K32 ストレラ-2（ロシア語: 9К32 Стрела-2）は、ソビエト連邦が1960年代に開発した携帯型防空ミサイルシステムで、特に歩兵が迅速に運用できる特徴を持っています。本ミサイルは、赤外線で誘導されるミサイルと小型の発射装置から成り立っており、ＮＡＴＯでは「グレイル」（Grail）というコードネームで知られています。

機能と仕様

ストレラ-2は、ミサイルの射程が550メートルから5,500メートル、さらに高度4,500メートルにまで対応可能です。誘導方式にはパッシブ赤外線ホーミングが採用されており、ミサイルの先端に搭載された赤外線シーカーが目標の熱を捉える仕組みです。しかし、初期型の赤外線シーカーには冷却機能がなく、キュムレートされた熱での認識精度に限界がありました。

目標を直撃した場合には、1.15kgの爆薬が炸裂し、即座に破壊します。また、もし目標を逃した場合には、約15秒後に自爆するメカニズムも備えています。発射装置は、別のミサイル容器に再装填することが可能で、予備弾を持つことは効率的です。

実戦での活用

ストレラ-2は多くの国に輸出され、実戦での使用も盛んです。例えば、中東戦争ではアラブ諸国に供給された他、ベトナム戦争時には北ベトナムによってアメリカ及び南ベトナム軍の航空機を多数撃墜しました。アフガニスタン紛争では、ムジャーヒディーン勢力がストレラ-2を使用し、さらに近年では湾岸戦争やイラク戦争でも確認されています。特に2012年にはヒズボラがこのミサイルを使った攻撃が報告されました。

ストレラ-2の基本型は射程と炸薬量が限られるため、一部の改良型や海外派生型が開発され、改良されているとの評価もあります。また、生産数が多く、世界中に流通しているため、非正規軍やテロリストの手にも渡っているという危惧も存在します。特に、アラブの春以降の混乱に乗じて武器の流出が進行しており、ストレラ-2もその影響を受けています。

派生型

ストレラ-2には、いくつかの派生型があります。

• - 9K32M ストレラ-2M - 改良型、NATOコードネームはSA-7B。
• - HN-5 - 中国で開発された携帯型防空ミサイル。
• - 化承銃（Hwasung-Chong） - 北朝鮮で生産された型。
• - Ayn as Saqr - エジプト製。
• - Anza MK-1 - パキスタン製。

さらに、艦載型や車載型も開発されており、その利用範囲は広がっています。他の国でも現地での改修型が存在し、その数は把握しきれないほど多岐にわたります。

配備国と登場作品

ストレラ-2は、多くの国に配備され、さまざまな軍事的文脈で利用されています。また、多くのフィクション作品にも登場し、ゲームやドラマにおいてもその存在が確認されています。特に『ロシア特殊部隊スペツナズ』や、ゲーム『ARMA 2』『コール オブ デューティ ブラックオプス』などで見られる傑作です。

このように9K32 ストレラ-2は、技術的で戦略的に重要な携帯式防空システムの一つとして、歴史の中でましてや現代でも注目されています。

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