AN/APG-63

AN/APG-63レーダーシステムについて

AN/APG-63は、アメリカのヒューズ社（現在はレイセオン）が開発した、多機能なレーダーシステムです。このレーダーは、主にマクドネル・ダグラス社のF-15戦闘機に搭載されるために設計されており、高度な性能を持っています。AN/APG-63は多モードのパルス・ドップラー・レーダーであり、パイロットが一人で操作できるように設計されています。また、列線交換ユニット（LRU）の採用により、その信頼性は非常に高く、特にAN/APG-63(V)1版では、平均故障間隔（MTBF）が120時間以上とされています。しかし、最初の配備段階では寿命が短く、故障間隔は僅か15時間でした。

1979年には、F/A-18に搭載されたAN/APG-65|AN_APG-65からの技術的フィードバックが受けられ、それに基づいていくつかの改良が加えられました。特に、プログラム可能デジタルシグナルプロセッサ（PSP）の導入により、ハードウェアを変更しなければならず、ソフトウェアのプログラムを迅速かつ低コストでカスタマイズすることが可能になりました。しかし、PSPのメモリー容量が不足していたため、新たな脅威への対応を図るためにはさらなる発展が求められました。そのため、後のモデルではメモリー容量の拡張が行われました。

このレーダーシステムの機能には以下のようなものがあります。

• - 空対空モード: これには、長距離および短距離のターゲット探索が含まれ、戦闘機などの小型目標でも最大約80海里の距離で検出可能です。
• - 空対地モード: 攻撃目標を識別し、爆弾を自動で投下できる機能や、地形のマッピングが可能です。

さらに、AN/APG-63は複数の派生型が存在します。中でもAN/APG-70は、信頼性を高め、メンテナンス性を向上させるために再設計され、製造コストを抑えるためにモジュールを共通化しました。この派生型は、合成開口レーダーや低被探知モードを新たに加え、空対空の探知能力も拡張されています。

AN/APG-63(V)1は2001年に装備が開始された改良型で、より長い探知距離と妨害に対する耐性を備えています。
続いて登場したAN/APG-63(V)2は電子走査式のAESAレーダーに改良され、導入当初は高価で重量も多く、信頼性の問題から試験的な運用のみでしたが、AN/APG-63(V)3ではその欠点を克服し、軽量化と信頼性が大幅に向上しました。

また、AN/APG-82(V)1はF-15Eのレーダー近代化プログラムで使用され、新たな無線周波数可変フィルター（RFTF）を装備し、同時に空対空と空対地モードを使用できるなどの新機能を有しています。

これらの技術革新により、AN/APG-63シリーズはF-15戦闘機の主要な武器システムとして、継続的に進化し、重要な役割を果たしています。それにより、現代の空戦における有効な戦闘能力を保持しています。

搭載機としては、F-15A/B/C/DやF-15E/K/SG/S/SA、F-15EXなどがあり、これらの機体において高性能なレーダーシステムが活用されています。

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