AN/APG-79

AN/APG-79 レーダー



AN/APG-79は、レイセオン社がF/A-18E/Fスーパーホーネット用に設計した先進的なパルス・ドップラー・レーダーです。このレーダーは、主に戦闘機の火器管制用に用いられることを目的としています。開発の初期段階においては、AN/APG-73 RUG IIIという名称が付けられていました。

概要



AN/APG-79は、既存のAN/APG-73のフロントエンド部分をアクティブ・フェーズドアレイ（AESA）技術により改良したもので、約1,100個のヒ化ガリウム（GaAs）からなるT/Rモジュールを搭載しています。このモジュールは、モノリシックマイクロ波集積回路と電波発信素子で構成されており、即時の機能性を実現しています。また、敵のレーダー波からの探知を回避するため、フロントアレイ部は斜め上に取り付けられています。

このレーダーは電子走査式であり、照射方向を瞬時に変更でき、多数の目標に同時にAIM-120 AMRAAMを発射できます。そのため、空対空および空対地モードを同時に活用することが可能です。特に、ラファールなどのレーダークロスセクション（RCS）が小さな目標に対しても高い探知能力を発揮し、高度なECCM（電子戦対策）能力も備えています。

動作モードには、リアルビーム・マッピングや合成開口レーダー、空対空捜索・追跡、海面捜索、地上移動目標識別、さらには捜索中追尾が含まれています。特に注目すべきは、インターリーブ機能を搭載しており、F/A-18Fの場合、前後席で異なるモードを同時に運用することが可能です。

また、AN/APG-79は高出力のマイクロ波を用いた電子妨害にも対応しており、これにより敵の電子機器を誤作動させたり、破壊することが可能です。この機能は戦闘において大きなアドバンテージとなります。さらに、COTS（商用オフ・ザ・シェルフ）技術の導入によって、開発コストの削減にも成功しています。

2016年11月には、目標同定や分類アルゴリズムを向上させる契約が海軍とレイセオンとの間で結ばれ、さらなる能力向上が期待されています。

派生型



AN/APG-79には、F/A-18C/Dホーネットのアップグレード用として二つの派生型が存在します。それがAN/APG-79(V)XとAN/APG-79(V)4です。AN/APG-79(V)Xは2010年にF/A-18C/Dに対してフィットチェックが行われましたが、2014年に再度の提案にも関わらず、海兵隊からの関心を引くことはありませんでした。しかし、レイセオンはその後も研究を進め、2015年1月12日に飛行試験を実施しました。この機種の開発とは別に、AN/APG-79(V)4も開発され、2018年6月にはF/A-18C/Dとの適合チェックも行われています。

搭載機



AN/APG-79は、以下の機体に搭載されています:
  • - F/A-18E/F スーパーホーネット Block 2
  • - EA-18G グラウラー

参考文献


  • - JWings 2005年1月号、イカロス出版
  • - 軍事研究 2010年6月号、2007年11月号、2008年1月号、ジャパン・ミリタリー・レビュー
  • - 丸 2011年8月号、潮書房

関連項目



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