AN/APG-80

AN/APG-80は、ノースロップ・グラマンが開発したパルスドップラー・レーダーであり、アクティブ・フェーズドアレイ・アンテナ（AESA）を採用しています。F-16E/F（Block 60）向けに設計・製造され、開発当初はAPG-68 ABR（Agile Beam Radarの略）と呼ばれていました。

設計・性能

AN/APG-80は、AN/APG-68|AN_APG-68を基に、アンテナ部分をAESA化したものです。約1,000個の送受信モジュールを有し、従来の機械走査型レーダーと比較して、広いレーダー探知範囲を誇ります。高解像度の合成開口レーダー（SAR）画像を作成でき、信頼性は2倍に向上しました。また、ノースロップ・グラマンの第4世代トランスミッタ/レシーバ・モジュール技術の恩恵を受けており、空対空目標、空対地目標、航空機地形追従機能を同時に使用し、複数目標を追尾できます。高度な空対空モードと空対地モードを備えていることが特徴です。

F-16用に設計されましたが、AESAアンテナの形状から、搭載には機首部分の再設計が必要となりました。そのため、F-16E/F以前の機体には搭載できず、代替としてAN/APG-83|AN_APG-83が開発されています。

開発

アラブ首長国連邦は、航空機の運用の中核となるAN/APG-80を含め、F-16E/F（Block 60）の開発費に30億ドルを資金供給しました。この機体の輸出は、"米国が自国より優れた戦闘機を海外へ販売した初めての例"として、フライトグローバルによって報じられました。

AN/APG-80は2003年7月中旬にロッキード・マーティンのF-16 Block 60レーダー・チームの関係者により、ボルチモアで実施されたレーダー受領テストの結果、ロッキード・マーティンのエアロナショナル・カンパニーの施設に納入されました。同年9月には最初のF-16 Block 60に搭載され、11月下旬に初飛行が予定されていました。並行して、BAC 1-11テストベッド機に搭載されたテストレーダーを使用した追加のソフトウェアモードのテストも継続されました。

その後、APG-80を搭載したF-16 Block 60は2003年12月7日に初飛行し、2005年後半までにUAE向けの80機のF-16 Block 60用のレーダーが納入されました。

関連項目

AN/APG-66|AN_APG-66 - F-16A/Bのレーダー
AN/APG-68|AN_APG-68 - ベースとなったレーダー

外部リンク

AN/APG-80 F-16 AESA Radar
AN/APG-80 Agile Beam Radar

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