AN/APQ-153

AN/APQ-153: 戦闘機用パルス・レーダーの概要

AN/APQ-153は、アメリカ合衆国のエマソン・エレクトリック社によって製造されたパルス・レーダーです。この技術は主に戦闘機の火器管制を目的として利用されており、特にF-5シリーズの航空機に搭載されています。

背景

1960年代において、アメリカはノースロップ社のN-156Fを基に、F-5A/Bフリーダム・ファイターを多くの国に供給してきました。しかし、当時の主要な想定敵機であったソビエト連邦のMiG-21が、新たに高度な火器管制レーダーを搭載したことにより、従来のF-5A/Bの性能では対抗が難しくなりました。これによりアメリカ空軍は、より高性能な戦闘機を海外に供給する必要性を感じ、国際戦闘機計画（IFA）に基づく新たなアプローチを模索しました。

目的と設計

このニーズに応える形でAN/APQ-153の開発が進みました。本レーダーは、F-5戦闘機の限られた機首スペースに対応するため、小型化が最優先され、比較的シンプルながらも機能的なシステムとして完成しました。空対空戦闘においては、赤外線ホーミング誘導方式を採用したサイドワインダー空対空ミサイルの運用が可能でしたが、他の高度なミサイル誘導機能を持っているわけではありませんでした。具体的には、セミアクティブ・レーダー・ホーミング（SARH）方式のミサイルには対応できず、ルックダウン・シュートダウン機能やグラウンド・マッピング機能も備えていませんでした。

改良と派生型

ノースロップ社は、従来のF-5A/Bを基に大規模な改良を行う中で、F-5-21を開発しました。この新型機体では、AN/APQ-153が中心的なアビオニクスとして搭載され、1972年8月には初飛行を果たし、最終的にはF-5E/FタイガーIIとして米軍に正式採用されました。

AN/APQ-153を基にしたさまざまな派生型も開発されており、その中には以下のようなモデルがあります:

• - AN/APQ-157: 複座型のF-5Fに対応したモデルであり、後席での操作も可能です。二つの列線交換ユニットが含まれています。
• - AN/APQ-159: AN/APQ-153の全面的な改良型で、プレーナアレイアンテナを採用し探知距離が倍増。MTBFは125時間に延長されました。これに続き、サブタイプも次々と開発されました。
• - AN/APQ-167: AN/APQ-157の更新版です。

参考文献

この技術やその進化に関する詳細は、複数の専門書や資料に記載されています。特に「Jane's Radar and Electronic Warfare Systems」や、立花正照の著書『ジェット戦闘機入門』は参考になるでしょう。これらの書籍は、レーダー技術や戦闘機の歴史に関心を持つ人々にとって重要な情報源となります。

結論

AN/APQ-153は、戦闘機の戦闘能力を向上させるために重要な役割を果たしてきました。構造的にはシンプルながら、戦闘機に求められる基礎的な火器管制機能を果たすことで、アメリカの戦闘機戦略に大きく貢献しています。

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