エマソン・エレクトリック

エマソン・エレクトリック（Emerson Electric Co.）の概要

エマソン・エレクトリックは、アメリカのミズーリ州セントルイスを本拠地に持つ、国際的に著名な多国籍企業です。1950年代からの長い歴史を背景に、エマソンはフォーチュン・グローバル500企業の一つに名を連ねており、産業、商業、家庭向け等、多岐にわたる市場に向けてエンジニアリングサービスを展開しています。

国内外で約115,000名の社員を雇い、150以上の国で事業を行っているエマソンは、60を超える事業部門を有し、それぞれ独立した経営体制を保ちながら統合されています。これはエマソンが一つのブランドの元で結束した、強力なコングロマリットであることを示しています。特筆すべきは、株主への還元に非常に重きを置いており、2015年時点で58年連続で一株当たり配当を増加させている点です。

エマソンの事業分野

エマソンは以下の5つの主要な事業部門を有し、それぞれに独自の製品やソリューションを提供しています。

1. プロセス・マネジメント事業

この部門は、工場運営の最適化に向けたプロセス制御機器や制御ソフトウェアを開発、製造、販売しています。石油化学、薬品、食品供給、電力など、様々な分野でプラントの効率性向上に寄与しています。主なブランドにはRosemountやFisherなどがあります。

2. ネットワークパワー事業

この分野は、データセンターや通信インフラを支えるための無停電電源装置 (UPS)や精密空調システムを開発しています。アボセントの買収によってデータセンターのITインフラ管理ソリューションにも積極的に対応しています。

3. 冷凍空調制御事業

エマソンは、その優れた技術を活用して、空調機器を制御しエネルギー効率を高めるための製品を提供しています。特にコープランドという強力なブランドの存在が光ります。

4. インダストリアル・オートメーション事業

この部門では、多岐にわたる産業用製品、特にモーターや発電機などを開発しています。環境に優しい再生可能エネルギーへの対応力も強化しています。

5. コマーシャル＆レジデンシャル ソリューション

この部門は、工具やストレージシステム、家電製品など、消費者向けや業務用ソリューションを提供しています。業務用市場での強さを誇ります。

エマソンの歴史

エマソンは1890年に設立され、当初は電気モーターの製造からスタートしました。戦後、企業の成長と多角化が進み、1960年代には多くのM&Aを実施。1980年代には、さまざまな新技術の導入によって、現在の事業形態が確立されました。

2022年には、ロシアからの撤退や気候関連技術部門の一部売却を行ったり、2023年にはナショナルインスツルメンツを買収するなど、企業戦略を精緻化し続けています。エマソンは、売上の海外市場からの依存度を非常に高くしていることが特徴で、特に米国外での売上が58%を占めています。

日本におけるエマソン

日本においてもエマソンは大切な市場として位置付けられており、日本エマソン株式会社などが展開されています。特定のプロジェクトや製品においては、日本の代理店を通じても事業を行っており、12の事業分野での展開が見られます。日本エマソンは1961年に設立され、現在は様々な産業向けに幅広い製品を提供しています。

このようにエマソン・エレクトリックは、長い歴史と豊富な経験を持ち、ますます国際的なビジネス展開を行い続けている企業です。

もう一度検索