AN/AQS-13

AN/AQS-13について

AN/AQS-13は、アメリカ合衆国で設計された吊下式ソナーシステムです。開発は1955年に始まり、当初はベンディックス社オーシャニクス部門によって行われ、その後アライドシグナルを経て現在はL3ハリス・テクノロジーズがその生産を手掛けています。このソナーは、特にアメリカ海軍のSH-3Dヘリコプターに搭載され、海中の状況を把握するために利用されています。

概要と発展

AN/AQS-13は、以前のモデルであるAN/AQS-10の技術を基にして改良されたもので、主にソナーの性能向上に寄与しました。特に、ホバリング高度50フィート（約15メートル）で使用する際、信号の送受信深度は450フィート（約140メートル）まで対応でき、ディップサイクル時間は約2-3分程度という効率的な運用が可能です。

初期型の-13Aモデルでは、送受波器の送信方向が180度に制限されていましたが、-13Bでは全方向送信が可能になり、さらに待ち受け受信機能も追加されました。これにより、16本の受波音響ビームを形成することができ、海中の音を効果的に分析できるようになりました。

続く-13C型では、ソノブイとの直接インターフェースが導入され、-13E型ではAPS（Adaptive Processing Sonar）モードが追加されました。このモードによって、浅海域での音源レベルが大きく向上し、騒音の多い環境でも高い性能を発揮します。さらに-13G型ではシステムのデジタル化が進み、軽量化が図られました。

また、AN/AQS-13の発展型としてHELRAS（Helicopter Long Range Active Sonar）が開発され、低周波音響処理が実現されています。これがAN/AQS-22 ALFS（Airborne Low Frequency Sonar）に繋がり、アメリカ海軍のMH-60Rに搭載されています。

日本での導入と運用

日本では、海上自衛隊が当初HSS-2ヘリにAN/AQS-10を搭載していましたが、昭和38年度調達分からAN/AQS-13への移行が始まりました。1969年からはライセンス生産が行われ、最終的にはAN/AQS-13Aに移行しました。その後も、HSS-2Bに搭載された後、1981年からは国内開発のHQS-102に切り替えられました。

SH-60Jに関しては、AN/AQS-18の送受波器を利用し、国内向けに音響信号処理部を国産化したHQS-103が採用されました。しかし、その後、SH-60KではHELRAS/ALFSに類似した低周波化を図ったHQS-104に乗り換えられています。

まとめ

AN/AQS-13は、アメリカ海軍による海上作戦に不可欠な技術として、様々なモデルを通じて進化し続けています。その高度な音響探知能力は、日本を含む各国の海軍でも積極的に活用され、海中の脅威を察知し、対処するための基盤を提供しています。今後も、さらなる改良が期待される技術です。

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