APS-Hサイズ

APS-Hサイズとは

APS-Hサイズは、デジタルカメラの固体撮像素子（イメージセンサー）のサイズ規格の一つです。この規格は、APSカメラシステムのHタイプ（30.2×16.7mm、対角線長約34.5mm、アスペクト比16:9）のイメージサークル直径に近いことから、その通称として用いられるようになりました。

デジタル一眼レフカメラにおいては、アスペクト比が3:2に変更され、サイズは27～28mm×18～19mm（対角線長33～34mm程度）、画角比は1.25倍となっています。

概要

APS-Hサイズのイメージセンサーは、35mmフィルムよりもサイズが小さいため、写る範囲（画角）が狭くなります。具体的には、交換レンズの焦点距離表記の約1.3倍相当の画角になります。例えば、50mmレンズを装着した場合、約65mm相当の画角が得られます。

このサイズが重要な理由は、35mmフルサイズ（36×24mm）の固体撮像素子の製造に使用されるステッパーにおいて、1回の露光で焼ける最大サイズである点です。フルサイズ製造には2回の露光が必要になります。APS-Cサイズよりもコスト面で不利ですが、35mmフルサイズセンサーと製造ラインを共有できるというメリットがあります。これにより、35mmフルサイズセンサーのコスト削減に貢献しています。

画質の有利性

APS-Hサイズは、35mmフルサイズセンサーよりもサイズが小さいものの、レンズの中心部分のみを使用するため、フィルムカメラ時代に設計された古い交換レンズでもレンズの描写力を高めることができます。また、周辺光量の低下もフルサイズに比べて抑えられます。さらに、APS-Cサイズよりもセンサーサイズが大きいため、画質などの性能面で有利です。

市場性

APS-Hサイズのセンサーを搭載したカメラボディは種類が限られており、APS-Hサイズ専用の交換レンズは販売されていません。そのため、35mmフルサイズ用の交換レンズを使用することになります。

キヤノンは主に報道などの用途で、望遠性能、速写性、低ノイズ、高感度が必要とされる市場に特化した製品を提供してきました。しかし、民生用レンズ交換式デジタルカメラのセンサーは、35mmフルサイズとAPS-Cサイズに集約され、近年では産業用デジタルカメラに供給されています。

APS-Hサイズの撮像素子を使用した製品

具体的な製品例は、市場での供給が限られているため、多くは産業用途に用いられています。

脚注

特になし

関連事項

固体撮像素子
35mmフルサイズ
APS-Cサイズ
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