ASV液晶

ASV液晶：高画質と高機能を両立したディスプレイ技術

シャープが開発したASV液晶（アドバンスト・スーパー・ビュー液晶）は、VA方式を採用したTFT液晶ディスプレイです。従来の液晶ディスプレイが抱えていた視野角の狭さ、応答速度の遅さ、コントラスト比の低さといった問題点を克服し、高画質で快適な映像体験を提供する技術として注目を集めています。

従来液晶の課題とASV液晶の革新

従来の液晶ディスプレイでは、液晶分子の傾きによって光の透過量を調整していました。そのため、見る角度によって液晶分子の傾き方が変化し、本来遮断されるべき光が通過したり、逆に光が遮断されてしまったりする現象が発生していました。このため、視野角は上下40度、左右90度程度に限定され、斜めから見ると画像が暗くなったり、色味が変化したりするといった問題がありました。

ASV液晶は、この問題を解決するために、液晶分子の配列方法に工夫を凝らしています。液晶分子を垂直配向させ、画素中央の突起を基準に放射状に全方向へ配列させるマルチドメイン方式を採用することで、広視野角化を実現しました。これにより、上下左右170度以上の広い角度からでも、鮮明で自然な映像を楽しむことができます。

さらに、ASV液晶は応答速度の向上にも成功しています。従来の液晶では、液晶分子の切り替えに時間がかかり、動画表示時に残像が発生することがありましたが、ASV液晶では高速応答を実現することで、残像感を大幅に低減し、滑らかな映像表示を可能にしています。

また、コントラスト比も従来の液晶に比べて大幅に向上しています。ASV液晶は、ノーマリーブラック型のパネルであるため、スイッチオフ時には光が透過せず画面が黒くなります。これにより、黒色の表現力が向上し、より深いコントラスト比を実現しています。

ASV液晶の応用

ASV液晶の高い性能は、様々な製品で活用されています。シャープの看板製品であるAQUOSシリーズをはじめ、高付加価値携帯電話、ソニー・インタラクティブエンタテインメント（SIE）のPSPなど、幅広い製品に搭載され、その高画質で多くのユーザーから高い評価を得ています。

モバイルASV液晶

2007年には、従来のアドバンストTFT液晶パネルにASV技術を組み合わせたモバイルASV液晶が発表されました。この新製品は、従来品に比べて視野角、応答速度、コントラスト比が大幅に向上しています。具体的には、視野角は上下左右176度（従来品170度）、応答速度は8ms（従来品25ms）、コントラスト比は2,000:1（従来品350:1）、色再現性はNTSC比100％を実現しています。

まとめ

ASV液晶は、従来の液晶ディスプレイの課題を克服した、高性能な液晶ディスプレイ技術です。広視野角、高速応答、高コントラスト比といった特徴により、より鮮明で美しい映像表示を可能にし、様々な製品で高い評価を得ています。価格はやや高価ですが、その高い性能から、高画質を求めるユーザーにとって魅力的な選択肢となっています。

もう一度検索