ATCコード B

ATCコード B：血液、および血液を生成する器官

ATC分類法とは

ATCコード（Anatomical Therapeutic Chemical Classification System：解剖治療化学分類法）は、世界保健機関（WHO）によって開発・維持されている、国際的に認知された医薬品その他の医療用品を体系的に分類するための英数字コード体系です。このシステムは、薬剤をその主な作用部位（解剖学的側面）、治療的用途（治療的側面）、および化学的特性（化学的側面）に基づいて階層的に分類します。これにより、世界中の様々な薬剤を統一的な基準で整理し、医薬品の使用状況の統計分析、規制、研究開発などの多岐にわたる活動において活用されています。

ATCコードは通常、5つのレベルから構成されるアルファベットと数字の組み合わせで表記されます。最初のアルファベットは主要な解剖学的グループを示し、これがATCコードの第1レベルにあたります。

ATCコード Bの対象

ATCコードの第1レベルである「B」は、「血液、および血液を生成する器官」に関連する薬剤および医療品を分類するために割り当てられています。具体的には、貧血治療薬、血液凝固関連薬、抗血栓薬、止血薬、造血薬、血液代用剤、輸液剤など、血液や骨髄など血液を生成する器官に作用したり、直接的に血液に関連する用途で使用される様々な製品が含まれます。このコードに続く数字とアルファベットは、分類の階層をさらに細分化し、特定の治療グループ、薬理学的サブグループ、および化学的物質を詳細に示します。

獣医学分野での利用 (ATCvetコード)

ATC分類法は主にヒト用の医薬品を対象としていますが、獣医学領域で使用される動物用医薬品についても、同様の分類体系が応用されています。これをATCvetコードと呼びます。ATCvetコードは、ヒト用のATCコードの構造を踏襲しつつ、区別のためにコードの先頭に文字「Q」を付加することが定められています。したがって、獣医学分野で「血液、および血液を生成する器官」に関連する動物用医薬品を分類する場合、そのコードは「QB...」という形式で表記されることになります。例えば、貧血に対する動物用治療薬などは、このQB以下の適切なコードに分類されます。

国内におけるコードの拡張

ATCコードは国際的な標準として広く利用されていますが、各国の医療システムや流通している医薬品の種類によっては、WHOによって割り当てられた既存のコードだけでは分類しきれない品目や、国内特有の事情に対応する必要が生じることがあります。このような場合、ATC分類法の枠組みを維持しつつ、世界保健機関が公式には割り当てていない未使用のコード領域を利用して、内国レベルでの追加的な拡張や細分類を設けることが可能です。これにより、国際的な標準分類に準拠しつつも、国内の実情に即したより詳細な医薬品管理やデータ分析を行うことが可能となります。ATCコード Bに関連する国内固有の医薬品等についても、必要に応じてこのような拡張が行われることがあります。

ATCコードBは、血液疾患や血液に関連する治療に用いられる薬剤を国際的に統一された基準で把握し、医療統計や研究において重要な役割を果たしています。

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