Age of Empires II Definitive Edition

エイジ オブ エンパイアII ディフィニティブ エディション

『エイジ オブ エンパイアII ディフィニティブ エディション』（原題：Age of Empires II Definitive Edition、略称：AoEⅡ DE）は、マイクロソフトより2019年11月14日に発売されたリアルタイムストラテジー（RTS）ゲームです。歴史的名作として知られる『エイジ オブ エンパイアII』のリメイク版にあたる本作は、オリジナル版の核となるゲームプレイを踏襲しつつ、グラフィックが全面的に刷新され、より現代的な視覚表現で生まれ変わりました。また、数多くの新文明やキャンペーン、新機能が追加され、戦略の幅が大きく広がっています。

本作の基本的なゲームスタイルは、シリーズを通して見下ろし視点で展開されるRTSです。プレイヤーは「暗黒の時代」からスタートし、資源の収集や建物の建造を行いながら時代を発展させ、最終的に敵勢力を降伏させることを目指します。ゲームの舞台となる中世は、「暗黒の時代」「領主の時代」「城主の時代」「帝王の時代」の四つの時代に分けられており、時代が進化するにつれて、より高度な技術の研究や強力なユニットの生産が可能となります。時代の発展や技術研究には特定の建造物と食料、木材、金、石材といった資源が不可欠です。これらの資源は、「町の人」と呼ばれるユニットを適切に操作して収集します。ユニットの生産にも資源を消費するため、時代の発展、技術研究、ユニット生産への資源配分が、戦いを優位に進めるための鍵となります。ゲーム開始時には、「町の中心」という重要建造物と町の人が3人、斥候ユニットが1体配置されており、町の中心では食料を消費して町の人の追加生産が可能です。

本作は、一人でじっくりと楽しめるシングルプレイと、世界中のプレイヤーや友人との対戦が可能なマルチプレイに対応しています。シングルプレイには、用意されたストーリーを追体験するキャンペーンシナリオと、マップや初期資源などの条件を細かく設定して自由に遊べるスカーミッシュモードがあります。スカーミッシュモードでは、旧作にはなかった資源の無限化オプションが追加され、資源収集を気にせず戦略や戦闘に集中するといったプレイも可能です。シングルプレイのゲームは途中で保存でき、後から再開できます。

マルチプレイでは、実力が試されるレート戦、カジュアルに楽しめるノーレート戦、プレイヤーが作成した多様なルールで遊べるカスタムシナリオ、そして協力して特定の目標達成を目指す協力シナリオが用意されています。プレイヤーは自分で部屋を作成したり、既存の部屋を検索して参加したりできます。待機中にチャットで交流することも可能です。レート戦ではマップと文明を選択後、自動でマッチングが行われ、勝敗に応じてレートが変動します。ノーレート戦では自由に設定をカスタマイズでき、レートは変動しません。カスタムシナリオには、通常の対戦とは全く異なるRPGのようなミニゲームも存在し、気軽にプレイできます。本作で新たに追加された協力シナリオは、シングルプレイ用のシナリオを複数プレイヤーで協力して攻略するモードです。また、試合終了後に同じ設定で即座に再戦を開始できる機能もβ版として実装されています。

本作では、オリジナルのシナリオを作成することも可能です。エディター機能を利用して、自由にマップ上にユニットや建物、地形などを配置できます。さらに、「トリガー」と呼ばれる設定を駆使することで、まるでキャンペーンシナリオのような複雑なイベントや展開を持つ世界を自作できます。作成したシナリオはまとめてカスタムキャンペーンとして公開し、Steamワークショップなどを通じて他のプレイヤーと共有できます。

ゲームの楽しさをさらに広げる要素として、MOD（拡張機能）の導入が可能です。AIの挙動変更、好きなBGMへの差し替え、テクスチャの変更といった、多種多様なMODがゲーム内で利用できます（Steamワークショップから直接導入はできません）。

ゲームの根幹をなす要素の一つに「文明」の存在があります。各文明はそれぞれ異なる固有ユニット、固有の建物、そして固有のテクノロジーを持ち、ユニットが話す言語も選択した文明によって変化します。AoEⅡ DEでは、初期収録分に加え、多くのダウンロードコンテンツ（DLC）によって追加された文明を含め、非常に多数の文明を操作できます。これらの文明はそれぞれユニークな特徴を持ち、選択する文明によって戦術や戦略が大きく異なります。

操作可能なユニットは、歩兵、騎兵、射手、象兵、攻囲兵器、軍艦、聖職者、交易ユニット、町の人、動物、英雄など多岐にわたります。特に、特定の文明のみが生産できる「ユニークユニット」は、その文明の個性を象徴する存在です。これらのユニークユニットは主に「城」で生産され、「帝王の時代」には「精鋭化」の研究によってさらに強力になります。一方で、多くの文明が共通して使用できる「汎用ユニット」も存在し、それぞれに対応する育成施設で生産されます。このゲームでは、ユニット間の相性を理解し、状況に応じてバランスの取れた部隊編成を行うことが勝利への重要な要素となります。前作よりもユニットの種類が増え、戦略が複雑化した本作では、軍事ユニットの相性と数的優劣が勝敗に直結します。

建物の建造は町の人が行い、資源を消費します。建物は主に内政を支える生産系と、軍事行動に必要な軍事系に分けられます。時代が進化すると、建物の耐久力なども向上します。生産系建物には、人口上限を増やす「家」、資源運搬を効率化する資源ドロップポイント、ユニットの能力を高める「鍛冶場」や技術を研究する「大学」など、内政の根幹を担うものが含まれます。軍事系建物としては、各種ユニットを生産する育成所のほか、防御壁や防御塔、そして強力な防御力を持ち固有ユニットや特殊研究が可能な「城」などがあります。一部の文明は、特性の異なる固有の建築物も建造できます。

ゲームプレイをさらに奥深くするのが「テクノロジー」の研究です。様々な施設で行える技術研究は、ユニットや建物の性能を向上させたり、新たな能力を付与したりします。特に「城」で研究可能な「ユニークテクノロジー」は、文明ごとの特徴を色濃く反映しており、ゲーム展開に大きな影響を与えます。技術研究は時代によって解放されるものが異なり、文明によって研究可能な技術も制限されています。

シングルプレイの主要コンテンツであるキャンペーンシナリオは、前作から引き継がれたものに加え、本作で多数の新しいシナリオが追加されました。これにより、歴史上の人物や出来事をより深く追体験できます。旧作のシナリオの一部は内容が改編されたりしています。本作で追加されたユニットや機能が反映されているため、シナリオの世界への没入感が高まっています。ゲームの基本操作を学べるチュートリアルキャンペーンは、前作と同じく「ウィリアム・ウォレス」です。キャンペーンでは、シナリオに登場する歴史上の人物を英雄ユニットとして操作することがあります。前作では英雄ユニットが死亡すると即ゲームオーバーとなるシナリオが多かったのですが、本作では死亡してもゲームが続行されるケースが増えました。歴史上の戦いや人物を題材とした単発シナリオ「歴史上の戦闘」や「勝者と敗者」もプレイ可能です。

その他にも、ゲーム開始時に設定を有効にすることで、資源を無限に増やしたり、通常では登場しないユニットを呼び出したりできるチートコードが存在しますが、キャンペーンで使用するとクリア判定が得られないため注意が必要です。

『エイジ オブ エンパイアII ディフィニティブ エディション』は、単なるリマスターに留まらず、現代の技術で生まれ変わったグラフィック、豊富な追加コンテンツ、そして洗練されたゲームシステムにより、『AoEII』の魅力を最大限に引き出した作品と言えるでしょう。

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