ANSYS

ANSYS（アンシス）の概要

ANSYSは、有限要素法を基にした高度な解析ソフトウェアで、アメリカのANSYS Inc.によって開発されています。このソフトウェア群は、工業界や研究機関において広く利用されており、さまざまな工学課題の解析を可能にします。

歴史と発展の過程

ANSYSの開発は、1970年に設立されたSASI (Swanson Analysis Systems, Inc.)にさかのぼります。創業者のJohn A. Swansonは、1971年からANSYSの開発を開始しました。当時は、MSCソフトウェアによるNastranが登場し、コンピュータを用いた構造解析が研究者のみならず一般企業でも用いられるようになってきた時期でした。その中でANSYSは、ユーザインタフェースの改善を図ることで競合との差別化を実現し、ユーザビリティを向上させました。

1983年には、電磁場解析機能を持つANSYS/EMAG3Dをリリースし、これによって構造解析のみならず、構造と熱以外にも熱と電磁場との連成解析が可能となるMultiphysicsパッケージの開発が進みました。このパッケージによって、設計に必要な多様なシナリオをスムーズに解析できるようになり、ANSYSは顧客のニーズに応えるヒット製品となりました。

1990年代以降、ANSYSは他社の買収を進め、流体解析分野の製品ラインアップを強化しました。この結果、3回の合併を経て、流体解析は社内で重要な分野として確立されました。また、LS-DYNAソルバーを活用した衝撃解析の能力を導入し、ユーザの要求に基づいた製品展開も行っています。1994年には社名をANSYSに変更しました。

UIとインターフェースの革新

ANSYSの大きな特徴の一つに、ユーザインタフェースの充実があります。複数のソルバー環境やMultiphysics機能を持つANSYSが統合環境で全ての設定を可能にするANSYS WorkBenchを開発しました。このツールはユーザの利用環境に合わせたカスタマイズが可能で、自身のニーズに応じて設定を変えることができます。さらに、3次元CADの普及に伴い、設計者が利用しやすいCAD連携型インターフェースを持つANSYS DesignSpaceも提供しています。これにより、設計者がCAEを簡単に導入できるようになり、ANSYSユーザが増加しています。

日本における展開

日本市場においては、サイバネットシステムがANSYSの総代理店として、販売や日本語版の提供を行ってきました。2001年には、アンシスジャパンを設立し、製品技術の一部を移管しました。2004年にはANSYSのCFXを買収し、アンシスジャパンとCFXアジアパシフィックが統合され、新しい企業が設立されました。さらに、2008年にはFluentを買収し、両者の日本法人が統合されてアンシス・ジャパンとして新たに出発しました。

このような統合を通じて、Fluentの販売管理機能も取り入れられ、両社の技術を活かしたプロモーション活動も展開されています。Itの一環として、Speedo社のレーザー・レーサーがオリンピックなどの大会で取り上げられたこともあり、これをANSYSの知名度向上に役立てる活動が行われました。

結論

ANSYSは、土台にある有限要素法を基にした解析技術を駆使し、常に進化を続けている企業です。特に、ユーザビリティや市場対応の点で優れた製品群を展開し続けることで、解析ソフトウェア分野において重要な役割を果たし続けています。

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