Apple A10

Apple A10 Fusion

Apple A10 Fusionは、Appleが開発した64ビットのARM SoC（System on a Chip）であり、2016年に発表されたiPhone 7およびiPhone 7 Plusに最初に搭載されました。このチップは、Appleの64ビットアーキテクチャを採用したモバイルSoCの第4世代として位置付けられています。後にiPad（第6世代、第7世代）やiPod touch（第7世代）にも採用されましたが、iOS 16ではiPhone 7シリーズのサポートが終了しました。一方、iPadOS 17及び18ではiPadのサポートが続いています。

設計とアーキテクチャ

A10 Fusionは、Appleで初めてのbig.LITTLE構成を採用した4コアのSoCです。これには2つの高性能コアと2つの高効率コアが含まれており、トランジスタ数はなんと33億個にも達します。この設計により、処理能力が向上しつつも、エネルギー効率を重視しています。実際、CPUコアは全て同時には動作しない方式（In-Kernel Switcher）を採用しているため、高負荷時には高性能コアが使用され、逆に低負荷時には高効率コアが稼働します。そのため、動作の実態は前世代のA9と変わらず、デュアルコア駆動が基本となります。

A10 Fusionの高性能コアは、2世代前のApple A8の最大2倍のスピードで動作し、高効率コアはそのわずか5分の1の電力で稼働します。GPUについても、前世代のPowerVR Series 7XT GT7600を改良しており、最大でA8の3倍の処理能力を持つとされています。この世代をもって、PowerVRアーキテクチャが採用されたのは最後となり、次世代のA11 BionicからはApple独自のGPU設計に切り替わっています。

さらに、A10 FusionはHEVC（High Efficiency Video Coding）のハードウェアエンコーダーを搭載しており、デコーダーは先代のA9から引き継いでいます。これにより、動画処理の能率も向上し、エネルギー消費を抑えながら高品質な映像を実現します。

搭載デバイス

A10 Fusionは、以下のデバイスに採用されています。

• - iPhone 7: 2.33GHzで動作
• - iPhone 7 Plus: 2.33GHzで動作
• - iPad (第6世代): 2.21GHzで動作
• - iPad (第7世代): 2.32GHzで動作
• - iPod touch (第7世代): 1.64GHzで動作

このように、Apple A10 Fusionは、効率的な設計と高いパフォーマンスを兼ね備えたプロセッサとして、多くの製品で使用され続けています。

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