Aqua (人工衛星)

Aqua (EOS PM-1) の概要

Aqua (EOS PM-1)は、アメリカのNASA、日本の宇宙開発事業団（NASDA）、ブラジルの国立宇宙研究所（INPE）の三カ国が共同で開発した地球観測衛星です。2002年5月4日にデルタIIロケットで打ち上げられ、太陽同期軌道に投入され、高度705kmで運用されています。独特の名前「Aqua」はラテン語で「水」を意味し、これが示すように、主に水の循環に関するデータを収集する役割を担っています。

Aquaは、設計寿命が6年間でありながら、運用が延長されることが期待されている衛星です。特に、他の衛星と連携して構成されるA-trainコンステレーションの先頭に位置し、これにより複数の衛星が同時に観測データを提供することが可能です。

搭載測器の紹介

Aquaは、数種類の高度な観測機器を搭載していますが、その中でも特に重要なものを以下に紹介します。

1. Advanced Microwave Scanning Radiometer for EOS (AMSR-E)

AMSR-Eは、NASDAによって開発されたマイクロ波放射計です。この装置は、雲の水量、降水量、海上風速、海面水温、土壌の水分量など、地球の水分状態を測定するために設計されています。観測周波数は6.925GHzから89.0GHzの間で、解像度は周波数によって異なります。AMSR-Eは、運用期間中に多くのデータを収集しましたが、その後、摩擦の増大により観測を停止し、2012年に低速回転で再開に成功しました。

2. Moderate Resolution Imaging Spectroradiometer (MODIS)

MODISは、可視光および赤外線を利用して、大気、海洋、雪氷、陸上のデータを生成します。これにより、環境監視や気候関連の研究において重要な役割を果たしています。

3. Advanced Microwave Sounding Unit (AMSU-A)

AMSU-Aは、上層大気の温度プロファイルを観測するための機器で、主に50-80GHzの範囲で動作します。観測幅は1650km、解像度は40kmです。

4. Atmospheric Infrared Sounder (AIRS)

AIRSは、可視光および赤外線を使用して、大気の温度と湿度、地表面の温度などを測定します。観測幅は1650kmで、水平解像度は13.5kmとなっています。

5. Humidity Sounder for Brazil (HSB)

HSBはブラジルのINPEによって開発されたマイクロ波サウンダで、水蒸気プロファイルを測定するために150-183GHzの範囲で運用されていましたが、2003年にサービスを終了しました。

6. Clouds and the Earth's Radiant Energy System (CERES)

CERESは、地球の放射エネルギーを観測するための放射計であり、波長範囲は0.3から50μmです。大気放射エネルギーと雲の上端も観測します。

まとめ

Aqua衛星は、様々な観測機器を駆使して地球環境の水循環や気候変動を監視し、科学研究に貢献しています。これらのデータは、気候モデリングや、自然災害の予測、地球規模の環境変化の理解に重要な役割を果たしています。今後もその成果が期待される存在です。

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