Aquamacs

Aquamacsは、macOS環境のために特化したEmacsベースのテキストエディタです。GNU Emacsを基盤としつつ、macOSのユーザーインターフェースガイドラインに沿った操作性を実現しています。現在の開発は、GNU Emacs バージョン25.3のブランチをベースに進められています。

GNU Emacs自体もバージョン23以降、Cocoa APIを利用してmacOSネイティブUIをサポートしていますが、AquamacsはさらにmacOSの標準に合わせたインターフェースに調整されています。例えば、ウィンドウ内にタブを表示して複数のファイルを切り替えたり、macOS標準のキーバインディング（Command-Wでウィンドウを閉じたり、Command-Sでファイルを保存するなど）が利用可能になっています。

また、標準の印刷ダイアログや機能に加えて、MacキーボードのオプションキーをEmacsのMetaキーとして効果的に使用できる機能も備わっています。さらに、ウィンドウのスタイルは、編集中のバッファのメジャーモードに合わせて自動的に変更されるため、視覚的にも快適に作業できます。フォントやアイコンも、他のMacアプリケーションと同様のものが採用されています。

Aquamacsは単なるテキストエディタではなく、GNU Emacsに統合開発環境（IDE）の機能を提供する拡張機能群のディストリビューションでもあります。LaTeX、Python、Java、Lisp、Objective Cなどのプログラミング言語の編集をサポートするほか、統計解析ソフトウェアRとSのためのEmacs Speaks Statistics（ESS）も利用可能です。これらのパッケージは、ユーザーが特別な設定を行うことなく、すぐに利用できるようになっています。

Emacsとの高い互換性も特徴であり、GNU Emacs向けの拡張機能パッケージもインストールできます。また、ユーザーは、Aquamacsのカスタマイズオプションを通じて、Emacsと同様の挙動をさせることも可能です。

現在のAquamacsには、Wikipediaモードも搭載されています。これにより、Wikipediaや他のMediaWikiベースのwikiサイトで文章を編集する際に便利な機能が利用できます。なお、MediaWikiのパッケージは、GNU Emacsでもパッケージシステムからインストール可能です。

このように、AquamacsはmacOSユーザーにとって非常に使いやすく、効率的なテキストエディタ環境を提供しています。テキスト編集だけでなく、プログラミングや文書作成にも活用できる、多機能なツールと言えるでしょう。

主な特徴

macOS標準のインターフェースに準拠した操作性
タブ表示による複数ファイル管理
macOS標準のキーバインディング
オプションキーをMetaキーとして利用可能
バッファのモードに合わせたウィンドウスタイルの自動変更
統合開発環境として利用可能な拡張機能群
Emacsとの高い互換性
Wikipediaモード搭載
LaTeX, Python, Javaなどのプログラミング言語に対応
統計解析ソフト R,Sにも対応

Aquamacsは、macOSでのテキスト編集作業をより快適かつ効率的にするための強力な選択肢となるでしょう。

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