Ar 240 (航空機)

アラド Ar 240 (Arado Ar 240)

アラド Ar 240は、第二次世界大戦中にドイツで開発された双発プロペラ戦闘機および偵察機です。初期のBf 110の後継機として位置付けられましたが、その後の飛行試験において極めて悪化した飛行安定性が問題となり、量産には至りませんでした。試作機の中には、実戦分析を兼ねた偵察任務で一部が部隊に配備されたものも存在します。

開発の概要

1938年にドイツ航空省が示したBf 110の後継機に関する仕様に基づき、アラド社はAr 240の開発を始めました。試作1号機は1940年5月に初飛行を果たしました。この機体は、DB601Aエンジンを2基搭載した双発複座機であり、その設計にはいくつかの革新的な要素が盛り込まれていました。具体的には、ダクテッド・スピナーの導入、胴体後端に搭載されたダイブブレーキ、高翼面荷重のためのダブルスロッテッド・フラップ、さらに操縦席の位置を機首に移すといった改良が行われました。試作7号機以降は、ドイツの戦闘機として初めて与圧キャビンも採用されることになりました。

この機体は、主車輪がダブルタイヤになっているため、不整地での運用が考慮されているのも特徴の一つです。しかし、試験結果は芳しくなく、速度性能はMe 210よりも優れていたものの、飛行安定性の著しい欠如と機体各部において多くの不具合が発覚し、駆逐機としての評価は低いものでした。アラド社は胴体の延長などの改修を試みたものの、結局この機体は偵察機・爆撃機としての方向に舵を切らざるを得ませんでした。最終的に試作3号から8号機はこの新たな仕様で生産されましたが、東部戦線や北欧、イタリアにおいて運用されたこれらの機体も、相変わらずの安定性の問題と多発する故障によって満足な成績を残すことはできませんでした。

その後、Ar 240の高速性能を活かし再び戦闘機としての開発が試みられましたが、重要な性能向上が見られなかったため、1943年にこのプロジェクトは中止されました。最終的には、合計14機が生産されたと言われていますが、説によっては12機または16機という見解も存在します。

Ar 440の可能性

Ar 240の性能が満足いくものではなかったため、アラド社はさらなる改良を目指し新たにAr 440の開発を開始しました。この機体は基本構造をAr 240と共有しつつも、胴体を延長し主翼を改良することで安定性を向上させることを目指しました。より強力なDB603Gエンジンが搭載され、装備の多くはAr 240と共通していましたが、その効率性からダクテッド・スピナーは採用されませんでした。試作1号機は1942年夏に初飛行し、以降合計で4機が製作されました。飛行試験の結果は良好で、操縦性と飛行時の安定性がAr 240と比べて著しく向上していました。

最高速度についても、亜酸化窒素噴射装置を使えば700km/hに達することが可能でした。加えて、同時期にテストされたMe 410と比べると、多くの分野において本機が優れているとの評価がありました。しかしながら、空軍はMe 410を選択したため、Ar 440の開発は許可されず、無念のうちに開発は中止となりました。

スペック

Ar 240 A-0

• - 全長：12.65 m
• - 全幅：14.20 m
• - 全高：3.96 m
• - 翼面積：31.0 m²
• - 全備重量：10,500 kg
• - エンジン：BMW 801J 1,440hp ×2
• - 最大速度：618 km/h
• - 実用上限高度：10,200 m
• - 航続距離：2,500 km
• - 武装：15.00mm機関銃 ×4
• - 乗員：2名

Ar 440v1

• - 全長：13.1 m
• - 全幅：15.0 m
• - 全高：3.9 m
• - 翼面積：35.0 m²
• - 全備重量：12,200 kg
• - エンジン：ダイムラー・ベンツDB603G 1,900hp ×2
• - 最大速度：708 km/h
• - 航続距離：2,703 km
• - 武装：13mm機関銃 ×4、20mm機関砲 ×3、30mm機関砲 ×2
• - 乗員：2名

ギャラリー

出典・脚注

• - 出典1
• - 出典2

関連項目

• - 戦闘機一覧

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