Armbrust

アルムブラスト：閉所戦闘を考慮した無反動対戦車擲弾発射器

アルムブラスト（Armbrust）は、ドイツのメッサーシュミット・ベルコウ・ブローム（MBB）社が開発した67mm口径の対戦車擲弾発射器です。名称はドイツ語で「クロスボウ」を意味します。最大の特徴は、無反動砲でありながら閉所での安全な射撃を可能にした点です。

開発の経緯

1970年代後半にMBB社が開発。その後、シンガポールのST Kinetics社とベルギーのPRB社に製造ライセンスが売却されました。NATOでの採用はAT-4との競合により見送られましたが、AT-4の後方爆風が市街戦で問題視されたことを考えると、アルムブラストの閉所射撃性能は時代を先取りしていたと言えるでしょう。

構造と機能

アルムブラストは、使い捨てのFRP製発射器を使用します。発射薬は、弾丸と後部のプラスチック片の間にピストンを介して装填されています。弾丸とプラスチック片は同じ質量を持ち、射撃時に発射薬の燃焼ガス圧でピストンが動き、それぞれを反対方向に同じ初速度で打ち出すことで反動を相殺します。

射撃後、ピストンは砲身の前後を塞ぎ、砲口炎の発生を防止するとともに、高温の発射ガスを砲身内に閉じ込める役割を果たします。後方に射出されたプラスチック片は、空気抵抗により運動エネルギーを急速に失い、1m程度の距離で安全になるとされています。

弾丸は、翼安定方式の成形炸薬弾（HEAT）であり、最大300mmの装甲を貫通する能力を持つとされます。

運用状況

2004年以降、シンガポール、ドイツ、イスラエルが共同開発したMATADORへの更新が進められていますが、フィリピンやブルネイでは依然として現役で使用されています。

特徴

閉所射撃能力: デイビス式無反動砲の原理により、後方爆風を最小限に抑え、閉所での安全な射撃を可能にします。
使い捨て: 発射器はFRP製で軽量であり、使い捨てを前提としています。
成形炸薬弾: 最大300mmの装甲を貫通する能力を持つHEAT弾を使用します。

外部リンク

Armbrust antitank grenade launcher (Germany) - Modern Firearms

もう一度検索