Atari 2600

Atari 2600の概要

Atari 2600は、アメリカのアタリ社が1977年に発売した家庭用ゲーム機です。この機種は、従来の固定プログラム型のゲーム機とは異なり、ロムカートリッジを使用することで複数のゲームソフトを楽しむことができました。発売当初は「Video Computer System」と名付けられ、後に「Atari 2600」に改称されました。価格は199ドルで、ゲーム業界に革命をもたらしました。

発売と最初の機能

Atari 2600は、当初ジョイスティック2台とパドルコントローラ2台、さらにロムカートリッジ1本が同梱されていました。最初に同梱されたゲームは『Combat』で、その後にはNamcoが開発した『Pac-Man』も追加されました。このように、本機は業務用ゲームを自宅でプレイできる環境を実現し、後に家庭用ゲーム機の基準となりました。

ゲームソフトの普及

Atari 2600には多くの名作ゲームが移植され、特に『スペースインベーダー』は本機のキラーアプリケーションとしての地位を確立しました。また、『Pac-Man』や『Circus』などが人気を博し、売上は急増しましたが、それに伴い不適切な生産計画が業界全体に影響を及ぼしました。この結果、アタリショックという危機的状況が発生し、家庭用ゲーム機市場は衰退していきました。

Atariの歴史

Atari社は1972年に設立され、最初の成功を収めたのは業務用ゲーム『Pong』です。その成功の後、家庭用ゲーム機の開発に注力し、1974年にはCyan Engineeringを買収。この買収がAtari 2600の開発へとつながりました。1975年にジョセフ・デクイアを雇い入れ、1976年から開発がスタートしました。彼らは新たなマイクロプロセッサを用いて、汎用性の高い家庭用ゲーム機の設計を目指しました。

ハードウェアの特性

Atari 2600は、モステクノロジー社の6502プロセッサのバリエーションである6507を使用しています。また、グラフィック処理や音源はTelevision Interface Adaptor（TIA）によって提供されています。これにより、低コストで高機能なゲーム機を実現しました。さらに、コントローラは2台のジョイスティックと2台のパドルコントローラが付属し、利用者は多様な操作を楽しむことができました。

ソフトウェアとゲームのラインナップ

Atari 2600の初期タイトルには、アクションアドベンチャーゲームの草分け『Adventure』や、『Breakout』などが含まれています。1980年には日本で『スペースインベーダー』が移植され、特に大ヒットとなりました。また、当機のソフトウェアは容量が2キロバイトから最大で16キロバイトに拡張され、ゲームの多様性が増しました。

日本における展開

日本国内では、1977年から1978年にかけてアタリ社のゲーム機が輸入販売されました。エポック社が1980年に「カセットTVゲーム」として販売し、当時の人気ゲームも流通しましたが、ゲーム＆ウォッチなどの他のゲーム機に押され、いまひとつの人気に留まりました。

アタリショックとその後

1982年頃、Atari 2600の急激な成長は急激な衰退を迎えます。サードパーティーによるソフトウェアの過剰な供給や市場要求の誤判断により、在庫過剰の問題が発生しました。特に『E.T.』や『Pac-Man』の売上が予想を大きく下回り、これによりアタリ社は壊滅的な打撃を受け、米国の家庭用ゲーム機市場は急速に衰退しました。

結論

Atari 2600は、その技術革新と多数のゲームタイトルにより、家庭用ゲーム機市場の礎を築きました。しかし、ビジネス戦略の誤りから起きたアタリショックは、ゲーム業界にとって深刻な教訓となりました。本機のリリースから数十年経った今でも、その影響は色濃く残っています。

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