Atmel AVR

AVR（AVR）とは

AVRは、1996年にAtmel社（現在はMicrochip社）が開発したRISCベースの8ビットマイクロコントローラ製品群の総称です。当初は、開発者であるアルフ・エギル・ボーゲンとヴェガード・ウォランの頭文字から「アルフとヴェガードによるRISC」という意味合いがありました。

特徴

AVRは、その使いやすさと多機能性から、電子工作の世界で非常に人気があります。主な特徴は以下の通りです。

ワンチップ構成: CPU、メモリ（RAM、ROM）、I/O、EEPROM、クロック発振回路、タイマーなどが1チップに集約されており、回路構成がシンプルです。
ISP対応: In-System Programming（ISP）に対応しており、コンパレータも内蔵されています。これにより、プログラムの書き込みやデバッグが容易です。
多様な品種: i8051ピンコンパチ品や外部バスを持つもの、USBコントローラを内蔵しDFU対応Bootloaderを搭載しているものなど、様々な品種があります。
C言語プログラミング: RAM空間がリニアであるなど、C言語でのプログラミングを意識した設計になっています。統合開発環境「AVR Studio」やGCCが利用でき、開発環境を安価に構築できます。
BascomAVR: BASICベースのコンパイラ「BascomAVR」も利用可能で、初心者でも簡単にAVRを試すことができます。
フラッシュROM: プログラム格納用のROMには全品種でフラッシュROMが採用されています。
ハーバードアーキテクチャ: ハーバードアーキテクチャを採用しており、高速な処理が可能です。

AVRの種類

AVRには、主に以下の3つのシリーズがあります。

90Sシリーズ: AVRの起源となったシリーズで、基本的な機能を提供します。
Megaシリーズ: 90Sシリーズを大容量化し、I/Oを拡張したシリーズで、より高度なアプリケーションに対応できます。
Tinyシリーズ: 高機能化、低消費電力化、低電圧対応を実現したシリーズで、省電力性が求められる用途に適しています。

現在ではMegaシリーズとTinyシリーズが主流ですが、90Sシリーズもまだ広く使われています。

主な品種

流通量が多い主な品種と著名な品種を以下に示します。

90Sシリーズ: 90S1200, 90S2313, 90S4433, 90S8515, 90S8535
Megaシリーズ: Mega1280/2560, Mega8/48/88/168/328, Mega161/162, Mega163/323, Mega169/329/649, Mega8515, Mega8535, Mega16/32, Mega64/128

AVRのレジスタセット

AVRは、汎用レジスタ、I/Oレジスタ、フラグレジスタなど、様々なレジスタを持っています。これらのレジスタを操作することで、マイクロコントローラの動作を制御します。

命令セット

AVRの命令セットは、以下の特徴があります。

16ビット固定長: 命令は16ビット固定長で、効率的な処理が可能です。
C言語を意識した命令: C言語でのプログラミングを考慮した命令群が用意されています。
ロードとストア: メモリへのアクセスはロードとストア命令のみで、演算はレジスタ間または即値との間で実行されます。
イミディエイト減算: 即値減算やキャリー付加減算がサポートされています。
乗算命令: Megaシリーズは乗算命令をサポートしています。
アドレッシングモード: 様々なアドレッシングモードを利用でき、柔軟なメモリアクセスが可能です。

関連技術

AVRに関連する技術や製品を以下に示します。

PIC: Microchip社が開発したマイクロコントローラで、かつてはAVRの競合製品でしたが、現在は併売されています。
Arduino: AVRをベースにしたオープンソースハードウェアで、プロトタイピングや教育分野で広く利用されています。
組み込みシステム: AVRは、様々な組み込みシステムに利用されており、産業機器、家電製品、自動車など、幅広い分野で活躍しています。
シーケンス制御: AVRは、シーケンス制御にも利用され、自動化システムの中核を担っています。

外部リンク

* Atmel本社

AVRは、その使いやすさと汎用性から、電子工作や組み込みシステム開発において欠かせない存在です。これからも様々な分野で活躍することが期待されます。

もう一度検索