シーケンス制御

シーケンス制御：自動化社会を支える制御技術

シーケンス制御とは、あらかじめ設定された手順に従って、機械や装置を段階的に制御する技術です。まるでレシピのように、機械に行わせる動作を順番に指示することで、自動化を実現します。私たちの身の回りには、このシーケンス制御が活用された機器があふれています。全自動洗濯機やエアコンなどの家電製品はもちろん、信号機、自動販売機、工場の生産ライン、ビルのエレベーターや自動ドア、さらには発電所や変電所といった大規模な設備にも、シーケンス制御は欠かせません。

シーケンス制御の進化

シーケンス制御は、古くから様々な分野で利用されてきましたが、当初は体系的な技術体系が確立されておらず、現場技術者の経験と勘に頼る部分が多々ありました。しかし、プログラマブルロジックコントローラ（PLC）の登場によって、シーケンス制御は劇的な進化を遂げました。PLCは、制御手順をプログラムとして記述し、コンピュータで制御を行う装置です。これにより、制御の複雑化や高度化、処理速度の大幅な向上を実現しました。

特に工場の自動化ラインにおいては、PLCを用いたシーケンス制御が標準となっています。複雑な工程もプログラムによって制御でき、生産性の向上、省人化に大きく貢献しています。

シーケンス制御の方式

シーケンス制御には、大きく分けて以下の3つの方式があります。

1. 有接点リレー方式: 電磁リレーをスイッチとして用いる方式です。昭和30～50年代には主流でしたが、現在ではPLCにその役割を譲りつつあります。負荷容量が大きく、ノイズに強いという利点があります。シーケンス図を用いて制御手順を表現します。

2. 無接点リレー方式: トランジスタやICなどの半導体をスイッチとして用いる方式です。有接点方式に比べて動作速度が速く、機械寿命が長いというメリットがあります。しかし、回路の変更が容易ではないというデメリットもありました。論理回路図を用いて制御手順を表現します。

3. PLC（プログラマブルロジックコントローラ）方式: シーケンス制御専用のマイクロコンピュータを用いる方式です。ラダー図と呼ばれるプログラミング言語を用いて、制御手順を記述します。電気配線をプログラム上で表現できるため、制御内容の変更が容易で、柔軟性が高いことが特徴です。空圧機器や電磁モーターなどを制御対象として、高速化、省配線化を実現しています。

PLCは、リモートIO、各種モーター制御（インバータモーター、サーボモーターなど）、センサーなど、多様な機器を制御できます。近年では、フィールドバスと呼ばれるネットワーク技術との連携も進み、より高度な制御システムの構築が可能となっています。特に、産業用イーサネット化は、シーケンス制御システムのさらなる高速化と効率化に貢献しています。

家電製品への応用

自動洗濯機やエアコンなど、多くの家電製品にもシーケンス制御が用いられています。これらの製品には、ワンチップマイクロコントローラが搭載され、製品固有のプログラムによって制御されています。温度、時間、回数などの設定値に基づいて、自動運転が行われます。ユーザーは、簡単な操作で、それぞれの機器を目的通りに制御できます。

まとめ

シーケンス制御は、私たちの社会における自動化に欠かせない重要な技術です。PLCなどの登場により、その機能は飛躍的に向上し、現代の高度な制御システムを支えています。これからも、様々な分野で進化を続け、より効率的で高度な自動化を実現していくでしょう。

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