Automattic

Automattic（オートマティック）

Automatticは、2005年に設立されたアメリカ合衆国のウェブ開発会社で、カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置いています。ウェブ上の自由な情報発信やオンラインビジネスを支援する様々なサービスを提供しており、特にオープンソースのブログソフトウェアであるWordPressの開発や、そのホスティングサービスであるWordPress.comの運営で広く知られています。

設立背景と企業規模

会社は2005年8月にマット・マレンウェッグ氏によって創設されました。社名「Automattic」は、創業者のファーストネーム「マット」にちなんで名付けられたとされています。設立以来、段階的に資金調達を行い、これまでに合計で6億ドルを超える資金を確保しています。その企業価値も高く、2019年9月時点では時価総額30億米ドルと評価されました。従業員数も順調に増加しており、2020年9月には1,200人を超える規模となっています。

働き方の文化

Automatticの特徴の一つに、創業当初から根付いているテレワーク文化があります。物理的なオフィスに縛られず、世界各地に分散したチームが協力して業務を進めるスタイルを確立しており、これは同社の運営哲学の重要な要素となっています。このユニークな働き方は注目を集め、ジャーナリストのスコット・バークン氏による取材の主題となり、彼の著書『マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた』（新潮社、2015年）でも詳しく紹介されています。

主要な事業とサービス

Automatticの事業の中核は、ウェブサイトの基盤となるプラットフォームや関連ツール、サービス群の提供です。

WordPress.com: オープンソースのWordPressを基盤としたウェブサイトホスティングサービスであり、ブログ作成やウェブサイト構築を容易に行えるように設計されています。個人ユーザーからビジネスまで幅広く利用されています。
Akismet: WordPressに標準搭載されることもある、スパムコメント対策のためのプラグインです。ウェブサイトの健全な運営を支えています。
Gravatar: ユーザーのアバター（プロフィール画像）を一元管理し、対応サービスで共通して表示させるためのサービスです。オンライン上でのアイデンティティ表現を助けます。
WooCommerce: WordPressで動作する、強力なEコマース（電子商取引）サイト構築のためのプラグインです。世界中のオンラインストアで広く利用されています。
Simplenote: シンプルで使いやすいメモ帳アプリケーションです。複数のデバイス間で同期でき、Markdown記法での記述に対応しています。
Tumblr: マイクロブログのプラットフォームとしてスタートし、後に大規模なSNSサービスへと発展したTumblrを、Automatticは2019年にベライゾン・コミュニケーションズから買収しました。これにより、同社のサービスラインナップがさらに拡充されました。

WordPressとの関係性

Automatticの創業者であるマット・マレンウェッグ氏は、オープンソースプロジェクトであるWordPressの共同開発者の一人です。しかし、しばしば混同されがちですが、オープンソースの「WordPress」と、Automatticが提供する商用ホスティングサービス「WordPress.com」は異なるものです。Automatticは、WordPressの主要な貢献企業の一つとして、その開発に深く関与し、多大なリソースを投入していますが、AutomatticがWordPressプロジェクト全体の「親会社」であるという関係性ではありません。オープンソースプロジェクトとしてのWordPressは、独立したコミュニティによって維持・発展されています。

まとめ

Automatticは、革新的なウェブ技術とサービスを通じて、インターネット上での表現活動やビジネスの可能性を広げることに貢献しています。その多様なプロダクトとユニークな企業文化は、デジタル時代の働き方や情報共有のあり方にも影響を与えています。

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