B・ブーム - ライヴ・イン・アルゼンチン

キング・クリムゾン『B・ブーム - ライヴ・イン・アルゼンチン』

『B・ブーム - ライヴ・イン・アルゼンチン』(原題: B'Boom: Live in Argentina)は、英国の革新的ロックグループ、キング・クリムゾンが1995年に発表したライブ・アルバムです。この作品には、バンドが1994年にアルゼンチンで敢行したツアーにおけるライブパフォーマンスの模様が収められています。

1990年代に入り、キング・クリムゾンは創設メンバーであるギタリストのロバート・フリップを中心に、新たなラインナップで活動を再開していました。特にこの時期は、「ダブル・トリオ」と呼ばれる6人編成という、クリムゾン史上でも特異な体制で演奏を行っていたことが大きな特徴です。通常のバンド編成であるギター、ベース、ドラムスというパートにそれぞれ2名ずつを配し、より複雑かつダイナミックな音楽性を追求していました。本作は、まさにその「ダブル・トリオ」期のライブにおける鬼気迫る演奏を体感できる作品となっています。

この時期のキング・クリムゾンを支えたメンバーは以下の通りです。

ロバート・フリップ: ギター
エイドリアン・ブリュー: ギター、ボーカル
トニー・レヴィン: ベース、チャップマン・スティック
トレイ・ガン: ウォー・ギター、チャップマン・スティック
ビル・ブルーフォード: ドラムス、パーカッション
パット・マステロット: ドラムス、パーカッション

ツインギター、ツインスティック、ツインドラムスという布陣が生み出す、緻密でありながらも破壊力を持つサウンドが、このライブ盤には克明に記録されています。

収録されているのは、彼らの代表曲やこの時期に制作された楽曲群です。Disc1とDisc2に分けられ、それぞれのディスクには以下の楽曲が収められています。

Disc1

ヴルーム (VROOOM)
フレイム・バイ・フレイム (Frame By Frame)
セックス、スリープ、イート、ドリンク、ドリーム (Sex Sleep Eat Drink Dream)
レッド (Red)
ワン・タイム (One Time)
B'ブーム (B'Boom)
スラック (THRAK)
トゥー・スティックス (Improv - Two Sticks)
エレファント・トーク (Elephant Talk)
インディシプリン (Indiscipline)

Disc2

ヴルーム・ヴルーム (VROOOM VROOOM)
待ってください (Matte Kudasai)
ザ・トーキング・ドラム (The Talking Drum)
太陽と戦慄 パートⅡ (Larks' Tongues In Aspic (Part II))
ハートビート (Heartbeat)
スリープレス (Sleepless)
ピープル (People)
B'ブーム (reprise) (B'Boom (reprise))
* スラック (THRAK) (THRAK (THRAK))

「レッド」や「太陽と戦慄 パートⅡ」、「エレファント・トーク」、「インディシプリン」といった過去の著名な楽曲が、新たな6人編成によってどのように再解釈され、演奏されているのかを聴き比べるのもこのアルバムの醍醐味です。また、「ヴルーム」や「スラック」、「B'ブーム」といった当時の最新曲も収録されており、バンドの進化の過程を知る上でも重要なトラックが含まれています。

ライブ盤であるため、スタジオ盤とは異なる生のエネルギーや即興的な要素も含まれています。特に、タイトルにもなっている「B'ブーム」や、即興演奏である「トゥー・スティックス」などは、その場で生まれるスリリングなサウンドを捉えています。

この『B・ブーム - ライヴ・イン・アルゼンチン』は、キング・クリムゾンの「ダブル・トリオ」期におけるライブパフォーマンスを記録した代表的な作品の一つであり、その圧倒的な演奏力とユニークな編成が生み出すサウンドを堪能できるアルバムです。後の作品にも繋がるこの時期の活動を理解する上で、欠かせないドキュメントと言えるでしょう。

関連情報として、このアルバムの様々なリリース形態や詳細は、Discogsなどの音楽データベースサイトでも確認することができます。

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