B・N・レッディ

B・N・レッディ（B.N. Reddi、1908年11月16日 - 1977年11月8日）は、20世紀中頃のインド映画界、特にテルグ語映画界において、その名を燦然と輝かせた偉大な人物です。映画監督、プロデューサー、そして脚本家として多岐にわたり活躍し、インド映画史に数々の傑作を残しました。彼の功績は高く評価され、南インド映画界の人間として初めてインド映画界最高の栄誉であるダーダーサーヘブ・パールケー賞を受賞したほか、インド政府からもパドマ・ブーシャン勲章を授与されています。

生涯

レッディ氏は1908年11月16日、現在のアーンドラ・プラデーシュ州に位置するカダパ県、Y・コタパッリ村にて生を受けました。彼は農家を営む家庭の出身で、4人兄弟の長男として育ちました。弟たちの中には、後に自身も映画プロデューサーとして成功を収めるB・ナギ・レッディがいます。父親のナラシンハー・レッディ氏は、遠くラングーンへ玉ねぎを輸出することで生計を立てていました。

レッディ氏は故郷のプロダトゥルやマドラスで教育を受けましたが、パッチャイヤッパル大学への進学後、学業を途中で断念しています。その後、彼は映画とは異なる分野、具体的には会計監査見習いとして監査法人で実務経験を積みました。この経歴が、後に映画製作会社を経営する上で活かされた可能性も考えられます。

映画キャリア

会計の道から転身したレッディ氏は、映画への強い情熱を胸に、H・M・レッディ氏や弟のB・ナギ・レッディと共に、映画製作会社ローヒニ・ピクチャーズを設立しました。これが彼の本格的な映画キャリアの始まりとなります。

ローヒニ・ピクチャーズでの初期の作品では、親交の深かった俳優チットゥール・V・ナガイアーを主要な役柄に起用し、『Vande Mataram』や『Devata』などを世に送り出しました。これらの作品を通じて、彼は監督としての才能を開花させていきます。

レッディ氏のキャリアにおいて、特に記念碑的な作品として知られるのが、1951年に製作・公開された『Malliswari』です。当時のトップスターであったN・T・ラーマ・ラオとバーヌマティを主演に迎えたこの映画は、その叙情的な物語、美しい映像表現、そして優れた音楽によって、公開当時から観客や批評家から絶賛を浴びました。時を経てもその評価は衰えることなく、テルグ語映画史における不朽の古典的名作として、現在でも多くの人々に愛され続けています。この作品の成功は、B・N・レッディ氏の監督としての地位を不動のものとしました。

功績

B・N・レッディ氏がインド映画界、特に南インド映画界に与えた影響は計り知れません。彼は単に多くの作品を手がけただけでなく、その芸術性と先駆的な姿勢は、後進の映画人たちに大きな影響を与えました。

彼の最も特筆すべき功績の一つは、1974年にインド映画界で最高の栄誉とされるダーダーサーヘブ・パールケー賞を受賞したことです。この賞は、インド映画の発展に多大な貢献をした人物に贈られるものであり、レッディ氏は南インド映画界から初めてこの賞を受賞した人物となりました。これは、当時のテルグ語映画界、ひいては南インド映画全体の隆盛と重要性が国家レベルで認められたことを意味する、歴史的な出来事でした。

また、彼は1974年にインド政府からパドマ・ブーシャン勲章も授与されています。これは、インドの市民に与えられる勲章の中で、3番目に格式の高いものであり、彼の芸術分野、特に映画芸術への長年にわたる顕著な貢献が改めて国家によって称えられた証です。

B・N・レッディ氏は、1977年11月8日にその生涯を閉じましたが、彼が残した作品群と功績は、今日でもインド映画史の中で特別な輝きを放っています。彼は単なる映画監督という枠を超え、南インド映画界のパイオニアとして、その発展に決定的な役割を果たした人物と言えるでしょう。

もう一度検索