B級駆逐艦 (2代)

イギリス海軍 B級駆逐艦

イギリス海軍のB級駆逐艦は、A級駆逐艦を基に対潜戦能力などを強化した小改正型として、1928-9年度計画で9隻が建造されました。ネームシップである「ビーグル」から、ビーグル級と称されることもあります。この艦級は、第一次世界大戦後のイギリス海軍における駆逐艦建造の発展を示す重要な一例です。

来歴

イギリス海軍は、1924-5年度から駆逐艦の建造を再開しました。まず、改W級駆逐艦をベースに、第一次世界大戦の戦訓と新たな技術を取り入れた試作艦として「アマゾン」と「アンバスケイド」を建造。その後、1927-8年度に量産型であるA級を建造しました。

続く1928-9年度の建造計画では、当初より大型で強力な兵装を持つ艦が検討されました。しかし、コストの問題からA級の小改正型として建造されることとなり、これがB級駆逐艦です。

設計

B級の設計は、上記のような経緯からA級とほぼ同様であり、アメリカ海軍協会（USNI）などではA級と一括りにA・B級として扱われることもあります。船首楼型、2本煙突という基本構成や艦内の配置もA級から踏襲されました。

機関構成もA級と同様です。ボイラーは、海軍本部設計のアドミラルティ式3胴型水管ボイラーを搭載。蒸気性状は圧力300 lbf/in² (21 kgf/cm²)、温度315.5℃でした。タービンはパーソンズ式オール・ギヤード・タービンで、独立した巡航タービンは持たず、高圧タービン内に設ける方式が採用されました。

装備

兵装面もA級のものをほぼ踏襲しました。主砲は45口径12cm砲（QF 4インチ砲Mk.IX）を4門搭載しています。「ブルドック」では、2番砲に60度の仰角が取れるCP Mk.XIII砲架を試験的に採用し高角砲を兼ねるようにしましたが、試験結果が不十分だったため、標準的な平射砲（仰角30度～俯角10度）としてのMk.XIV砲架に換装されました。

水雷兵装としては、A級と同様に21インチ魚雷発射管を4連装で2基搭載しました。初期にはMk.V魚雷を搭載していましたが、後にMk.IXに更新されました。B級では、新たに探信儀（ASDIC）として119型ソナーが装備され、対潜兵器を搭載しました。しかし、装備位置の関係で対潜兵器が掃海兵装と干渉するため、掃海兵装は省かれました。

第二次世界大戦が勃発すると、残存艦は護衛駆逐艦として改装され、271型レーダーの装備、後部魚雷発射管を撤去して45口径7.6cm高角砲（QF 3インチ砲Mk.I）の搭載、対潜爆雷搭載数の増加などが施されました。「ビーグル」と「ブルドック」は、7.6cm高角砲の代わりに70口径20mm機銃6門を搭載。さらに、1番砲を撤去してヘッジホッグ対潜迫撃砲を搭載し、爆雷搭載数を125発に増加させました。

同型艦

A級と同様に、嚮導艦1隻を含む9隻が建造されました。

ビーグル (HMS Beagle)
ブルドッグ (HMS Bulldog)
バジル (HMS Basil)
ボアディシア (HMS Boadicea)
ブラゼン (HMS Brazen)
ブリリアント (HMS Brilliant)
ブランチ (HMS Blanche)
ブレイズ (HMS Blaze)
ボレラス (HMS Boreas)

大戦中に5隻が戦没。残る4隻も、戦時中にギリシャ海軍に貸与された1隻を除いて戦後間もなく予備役編入され解体されました。ギリシャに貸与されていた1隻も、1951年にイギリスへ返還された後、間もなく解体されました。

まとめ

B級駆逐艦は、A級の設計をベースとしつつ対潜能力を強化した艦級です。第二次世界大戦では、護衛駆逐艦として活躍し、その後の駆逐艦設計に影響を与えました。建造された9隻は、大戦中に多くが失われましたが、戦後もその一部が運用されました。

参考文献

海人社『世界の艦船』各号
* USNI (United States Naval Institute) 記事

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