B-10 (航空機)

マーティン B-10について

マーティン B-10（Martin B-10）は、アメリカのマーティン社によって開発された爆撃機で、1930年代にアメリカ陸軍航空隊に採用された初の全金属製単葉機です。この機体はインパクトのあるデザインと性能で注目を集め、戦間期における航空機技術の進歩を象徴する存在となりました。

開発の経緯

B-10の開発は1930年に始まり、当初は社内で123型という名称で呼ばれていました。革新的な双発全金属機であり、胴体内に爆弾槽を設計することで、大量の爆弾を搭載する能力を持っていました。1932年3月には原型機の試験が開始され、これが後にXB-907と命名されました。試験機は317 km/hという最高速度を記録し、これが決定打となり、1933年にはYB-10として48機が正式に発注されました。この量産型はその後のB-10、B-10Bなどの改良型へとつながります。

生産と配備

量産型の生産が始まったのは1934年の半ばで、アメリカ陸軍の幾つかの部隊に配属されました。最終的には121機（または118機とも言われる）が生産されましたが、導入後まもなくその性能が旧式となり、1939年頃には第一線から退くことになります。短命の運命ながら、同期の戦略爆撃機と比べてその存在意義を誇りました。

輸出と国際的な運用

1936年には輸出が認可され、オランダが最も多くのB-10を利用しました。オランダ領東インドでは100機以上が配備され、その他にもアルゼンチン、中華民国、トルコ、タイに輸出されました。特に中華民国空軍においては、1938年に対日戦争に関連した特異な事件が発生しました。B-10B型が日本の九州上空に到達し、例のビラを散布した際、これは日本本土に敵の軍用機が進入した初のケースであり、多くの歴史的意義が持たれています。そして第二次世界大戦が始まる頃には、旧式となっていたものの、輸出されたオランダ機は初のアメリカ機として大戦に参加しました。

機体の特徴と性能

B-10はそのデザインにおいても特筆すべき点がありました。全長は13.63m、全幅21.60m、全高3.48mの規模で、翼面積は63.4m²というスペックを誇ります。また、最大速度は343 km/h、実用上限高度は7,365m、航続距離は1,996kmに達しました。武装は1,050kgの爆弾と、7.62mm機銃が3丁配置されており、乗員は4名でした。

各型について

マーティン社はB-10の他にも多くの派生型を設計しました。代表的なものにはYB-10、B-10B、RB-10MAなどがあり、性能や形状を改良するための試作機も多く存在しました。特にB-10B型は主力型となり、105機が製造されました。他にも、標的曳航機として改造されたB-10M、長距離飛行を実現するために改良されたYB-12などが開発され、それぞれが異なる任務を担いました。

現在の状況

現在、マーティン B-10の実機は現存していませんが、一部の部品がオランダの一般軍事博物館で展示されているとの情報があります。B-10の歴史は、航空機技術の発展と幾多の戦争における重要な役割を物語るものであり、その遺伝子は今日の航空機の設計においても影響を与えています。航空機ファンや歴史研究者にとって、B-10は忘れられない名機としてその名を刻んでいます。

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