BA-20 (装甲車)

BA-20装甲車の概要と歴史

BA-20は、ソビエト連邦で生産された装甲車の一つで、FAI装甲車の後継として1930年代に誕生しました。FAIはGAZ-Aという乗用車を基にした装甲車でしたが、BA-20も同じくGAZ-Aの派生モデルGAZ-M1をシャーシとして用いています。そのため外観はFAIと大変似通っています。BA-20の特徴は、FAIに比べ強化された装甲とエンジンにあり、これにより走行性能が大きく向上しました。また、ソビエト軍の装甲車としては初めて無線機を標準装備していることも大きなポイントです。

この装甲車の開発は1934年から始まり、1936年には生産が開始されました。1942年6月までに合計2114輌が生産され、特に需要が高かったのは独ソ戦の初期です。その後、BA-20Mという派生型が登場し、乗員が3名に増員され、さらに無線手が追加されました。また、鉄道軌道用の装甲車型であるBA-20zhdおよびBA-20Mzhdも開発され、合計137輌が生産されました。

死角としては、1937年に変更された側面装甲が少し傾斜した銃塔にあることや、BA-20MからはGAZ-MSシャーシへの変更により足回りが強化されたことが挙げられます。車体・銃塔前面の装甲厚が9mmに増強され、20リットルの燃料タンクが追加されることで、航続距離も450kmに延びました。

実戦での運用

BA-20が最初に戦争で使用されたのはスペイン内戦であり、ソビエトは人民戦線に対してこの車両を供給しました。次に重要な実戦はノモンハン事件であり、ここでソ連軍は装甲車を大規模に投入しました。指揮官ゲオルギー・ジューコフは、戦車を含む日本軍に対して、約10倍の装甲車両を配置しました。その結果、BA-6重装甲車とともにBA-20は補給部隊の護衛で重要な役割を果たし、戦闘に勝利しました。ただし、戦闘の際には16輌が全損し、27輌が大きな損傷を受けるという厳しい現実もありました。

ポーランド侵攻以降は比較的平坦な地域での運用が続きましたが、冬戦争では問題が生じ、この地域の悪路によって運用が大きく制限されました。この戦闘では33輌が失われ、その中にはフィンランド軍に鹵獲されたものもありました。これらの経験をもとにBA-21などの派生型が開発されましたが、根本的な改良には至りませんでした。

また、独ソ戦の初期にはBA-20がドイツ国防軍に鹵獲され、その後はPanzerspärwagen BA 202（r）という形式名で二線級部隊によって運用されました。この期間以降、BA-20はより新しい軽装甲車であるBA-64に取って代わられるようになりましたが、1945年までは少数ながら活躍を続け、満州侵攻にも参加しています。全体として、BA-20は装甲の薄さや武装の貧弱さが課題であり続けましたが、合計2144輌が生産され、ソ連軍の補給活動を支える役割を果たしました。1947年まで現役で使用され続けた歴史があります。

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