BARK

BARK（Binär Aritmetisk Relä-Kalkylator、2進数継電器計算機）は、スウェーデンの計算機委員会（Matematikmaskinnämnden）が、40万クローナの巨額な費用を投じて1950年2月に完成させた、初期の電気機械式計算機です。これは、当時としては画期的な存在であり、スウェーデンの情報技術の発展に大きく貢献しました。

BARKは、32ビットの二進数計算機として設計され、加算を150ミリ秒、乗算を250ミリ秒で処理する能力を持っていました。メモリとして、当初は50個のレジスタと100個の定数を搭載していましたが、後にメモリ容量は倍増されました。この計算機は、今日のコンピュータと比較すると非常に大きなものでしたが、当時の技術水準からすると、驚くべき性能を誇っていました。

BARKの製造には、電話交換機で使用される一般的な継電器（リレー）が、初期段階で5,000個、メモリ増設後には7,500個も使用されました。配線は総延長80キロメートルに及び、ハンダ付け箇所は175,000点にも達しました。これは、当時のコンピュータがいかに大規模で複雑なものであったかを示しています。

開発プロジェクトは、Conny Palmがリーダーを務め、Harry Freese、Gösta Neovius、Olle Karlqvist、Carl-Erik Fröberg、G. Kellberg、Björn Lind、Arne Lindberger、P. Petersson、M. Wallmarkといった、多くの技術者が参加しました。彼らの努力と才能が、BARKの成功を支えたと言えるでしょう。

情報工学の先駆者であり、アメリカの計算機開発に大きく貢献したハワード・エイケンもBARKを見学し、「ハーバード大学以外で実際に稼働しているコンピュータを見たのは初めてだ」と述べたとされています。これは、BARKの完成度が非常に高く、国際的にも注目されていたことを示しています。

BARKは、1950年4月28日から1954年9月22日まで、実際に使用されました。この期間、BARKは様々な計算処理を行い、スウェーデンの科学技術発展に貢献しました。BARKの開発から数年後、スウェーデン計算機委員会はさらに高度な計算機であるBESKを完成させました。

BARKは、初期の電気機械式計算機として、その後のコンピュータ開発に大きな影響を与えました。BARKの開発に携わったOlle Karlqvistを顕彰するサイトが、現在も公開されています。

BARKの遺産は、現代のコンピュータ技術の基礎を築いただけでなく、初期のコンピュータ開発における技術者の情熱と創造性を後世に伝える重要な事例です。

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