BE MY BABY

COMPLEXのデビューを飾った大ヒットシングル「BE MY BABY」

1989年、日本の音楽シーンに衝撃が走った。それは、吉川晃司と布袋寅泰という、当時既に個々の活動で圧倒的な人気を誇っていた2人によるユニット、COMPLEXの誕生、そしてそのデビューシングル「BE MY BABY」のリリースだった。

この楽曲は、単なるミュージシャンのコラボレーションの域をはるかに超える、時代を象徴する一曲と言えるだろう。それぞれがソロ活動で成功を収めていた2人が、新たなユニットを結成した背景には、1988年に吉川晃司が1年間の休業宣言を行い、事務所やレコード会社を移籍した時期と、BOØWY解散後の布袋寅泰の動向が注目されていた状況が重なっていた。この偶然とも必然とも取れる出会いが、「BE MY BABY」という歴史的ヒットを生み出したと言えるだろう。

1989年4月8日、東芝EMIのEASTWORLDレーベルから7インチレコードと8センチCDの2形態でリリースされた「BE MY BABY」。オリコンチャートでは堂々の1位を獲得し、その勢いは留まることを知らず、同4月26日にはアルバム『COMPLEX』、5月3日にはシングルビデオも1位を獲得するという快挙を達成した。

シングル「BE MY BABY」のカップリング曲には、「CLOCKWORK RUNNERS」が収録されている。シングルバージョンは、アルバム収録のものとは異なり、イントロ部分が約6秒カットされたエディットバージョンになっており、副題に「時計じかけの走者達」というタイトルが付け加えられている。このシングル限定バージョンは、アルバムとはまた違った魅力を感じさせる仕上がりになっている。さらに、2007年には吉川のダンス・リミックス・ベストアルバム『DISCO K2』に、「BE MY BABY（MONTSERRAT MIX）」がボーナス・トラックとして収録された。

8センチCD盤は、紙製のスリープケースにプラスチックトレイを差し込むという、当時としては凝った特殊パッケージ仕様となっていた。歌詞カードも3つ折りで添付され、ファンにとって嬉しい仕様となっていた。

ミュージックビデオは、白い空間で吉川晃司が歌い、布袋寅泰がギター演奏を行うという、シンプルながらも洗練された映像となっている。監督は中村友彦氏。後にリリースされた「PRETTY DOLL」のMVと合わせて、シングルビデオ『BE MY BABY』として発売された。

「BE MY BABY」は、音楽シーンにとどまらず、様々なメディアでも使用されている。トヨタ自動車のセラのCMソング（1991年）、同社のbBのCMソング（2008年）、バラエティ番組『R-1ぐらんぷり』のテーマソング（2002年～）、クラシエホームプロダクツのヘアケアブランド「いち髪」のCMソング（2019年）など、幅広い世代に楽曲が届けられた。

さらに、「BE MY BABY」は多くのアーティストにカバーされている。布袋寅泰自身のアルバム『ALL TIME SUPER BEST』、倖田來未のアルバム『ETERNITY〜Love & Songs〜』、嘉門達夫（現・嘉門タツオ）の「替え唄メドレー2」、東山紀之のDVD『少年タイヤ SHONENTAI SELECTSONGS』、星屑スキャットのシングル「不可思議条約」など、様々なアーティストがそれぞれの解釈で「BE MY BABY」を表現している。興味深いのは、嘉門達夫が替え歌で今井美樹の名前を歌っている点で、布袋寅泰は後に今井美樹と結婚している。これは偶然の一致と言えるだろう。

「BE MY BABY」は、COMPLEXのデビューシングルとして、そして日本の音楽史における重要な一曲として、これからも多くの人々に愛され続けることだろう。その魅力は、吉川晃司と布袋寅泰という個々の才能の融合、そして時代を超えて響くメロディーと歌詞にあると言える。

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