シングル『BEAUTY』の紹介
『BEAUTY』は、
吉田美奈子の通算8作目の
シングルで、1995年1月21日に発売されました。これは、5年ぶりにリリースされたアルバム『
EXTREME BEAUTY』の先行
シングルとなります。
シングル版の「BEAUTY」と、彼女が鈴木雅之のために提供した「LIBERTY」の
セルフカバーは、アルバムに収録されているバージョンとは異なります。
シングル「BEAUTY」の背景
「BEAUTY」というタイトルの楽曲は、1996年にJR東日本の冬キャンペーンのCMで使用され、その印象的なメロディは多くのリスナーに親しまれました。
吉田美奈子は、1990年にアルバム『gazer』をリリースして以降、楽曲提供やプロデュース活動に力を入れていたものの、アーティストとしての活動はすっかり控えめになっていました。1994年8月には、MCAビクターとの専属録音契約を結び、その後すぐにアルバム制作に取りかかることとなりました。
アーティスト活動の再開
吉田美奈子は、自身のアーティスト活動を再開するきっかけとして、一昨年に行った手打ちコンサートでの出来事を挙げています。彼女の周囲には、彼女の歌を再び聴きたいという人々がいました。「たまには歌が聴きたい」との声が多く寄せられ、音楽活動の復活を考えたと語っています。こうした些細なきっかけから、彼女は再び歌い始めることを決意しました。実際にコンサートで聴衆が熱心に彼女を見守り、あたたかい反応を示したことが、彼女にとって大きな励みとなったのでしょう。
声の重要性
彼女は、そもそも自身が持つ唯一無二の声の重要性に気づき始め、その声をないがしろにしてはいけないという思いが芽生えたと言います。この気づきが、音楽活動を再開する動機の一つになったようです。音楽を確立することは大切ですが、日常生活の中で自分の声を届けることも重要だと感じたようです。数社から音楽のオファーを受けた中で、MCAを選んだ理由として、社長が彼女の声を気に入っていて、そのままの声で歌って欲しいと明確に求めたことが挙げられます。彼女は、このような明快な要求が彼女の決断を後押ししたと述べています。
山下達郎とのコラボレーション
本作に収録されている楽曲のコーラスには、山下達郎が13年ぶりに参加しています。
吉田美奈子が彼に声をかけたことが、共演するきっかけとなりました。彼女は、女性が男性に対して気を配って門戸を開くことの重要性を感じていると話しています。一方で山下達郎も、その共演について自信を持っており、二人のコンビがコーラスの響きにおいて他には負けないと語っています。彼らが共演することによって生まれる独特な音の共鳴や空間的な響きは、今の若いエンジニアには理解されにくいかもしれませんが、彼ら自身の言葉で表現されたその成功体験は、共演への確信が大きかったことを物語っています。
収録曲
シングルには、「BEAUTY」と「LIBERTY」の他、特別なバージョンが収録されています。特に「LIBERTY」には、山下はコーラス参加せず、吉田の一人多重録音によるものとなっています。
この
シングル『BEAUTY』は、
吉田美奈子の音楽キャリアにおける重要な一歩であり、彼女の声と音楽に対する想いが詰まった作品として、多くのファンに愛され続けています。