BLACK BIRD (漫画)

BLACK BIRD (ブラックバード)

桜小路かのこによる日本の少女漫画作品。
『Betsucomi』(小学館)にて2006年7月から2012年12月まで連載されました。人間と妖怪との恋愛をテーマにした物語で、主人公と妖怪の青年との間に生まれる、切なくも美しい愛の形を描いています。

あらすじ

幼い頃から妖怪が見える主人公、原田実沙緒。彼女を守ってくれるのは、初恋の人である鳥水匡。しかし、再会した彼は、実沙緒を狙う妖怪「天狗」だったのです。実沙緒は特別な力を持つ「仙果の娘」であり、その血や肉は妖怪に力を与え、花嫁に迎えれば一族を繁栄させると言われています。実沙緒と匡は、互いを想いながらも、運命に翻弄されていきます。

物語は、出会いから始まり、二人の絆が深まる過程、結ばれた後に生じる試練、そして最終的な結末まで、4つの章で構成されています。二人は様々な困難を乗り越え、愛を深めていきますが、その道のりは決して平坦ではありません。他の妖怪との争い、宿命、そして「仙果の娘」としての運命が、二人の愛を試します。

登場人物

原田 実沙緒（はらだ みさお）
本作の主人公。100年に一度生まれる「仙果の娘」であり、幼い頃から妖怪が見える。16歳で、初恋の相手である匡と再会し、自分が特別な存在であることを知る。最初は強引な匡を拒絶していたが、次第に惹かれていく。お酒を飲むとキス魔になる一面も。物語後半で、匡の子を妊娠するが、「仙果の娘は出産と同時に死ぬ」という運命を知り、苦悩する。

烏水 匡（うすい きょう）
烏天狗一族の長。実沙緒の初恋の相手で、彼女を常に守ろうとする。普段は実沙緒の学校の教師として働いている。実沙緒を深く愛しており、彼女を助けるためには手段を選ばない。実沙緒と結ばれたことで「最強の妖」となるが、それによって様々な問題が発生する。実沙緒の妊娠後、彼女を死なせたくない一心で苦悩し、様々な手段を講じる。

烏水 祥（うすい しょう）
匡の兄で、八大天狗の一人。一族の嫡男だったが、後にその地位を追われる。実沙緒に特別な感情を抱いており、度々彼女を襲う。反魂の術で蘇った後、匡と対立することになる。実は実沙緒を救うための方法を独自に探していた。

烏水 楊（うすい よう）
匡と祥の父で、先代当主。5年前から姿を消していたが、物語後半で再び登場する。息子たちを気にかけ、実沙緒を救うためのヒントを与える。

令/相模（りょう/さがみ）
八大天狗の一人。既婚者で、あやめの夫。冷静な判断力で、匡をサポートする。

悠/伯耆（ゆう/ほうき）
八大天狗の一人。相模の弟。兄とは対照的に、善悪の区別がつかない一面がある。

剛/前鬼（ごう/ぜんき）
八大天狗の一人。関西弁で喋る。実沙緒にシスコンだと思われたことがある。

丈/豊前（じょう/ぶぜん）
八大天狗の一人。青い目をしている。実は匡の母に想いを寄せていた。

太郎（たろう）
八大天狗の一人。三つ子の長男。料理や家事が得意。

次郎（じろう）
八大天狗の一人。三つ子の次男。勉強が得意で、賢い。

三郎（さぶろう）
八大天狗の一人。三つ子の三男。怪力。

江/僧正（こう/そうじょう）
元八大天狗。祥の世話係だった。

烏水 あやめ（うすい あやめ）
匡のいとこで、相模の妻。病弱だが、心は強い。実沙緒の血で回復する。

烏水 颯（うすい そう）
実沙緒と匡の子供。子供時代の匡にそっくりな容姿を持つ。

道成寺 希世（どうじょうじ きよ）
白蛇一族の女性。匡に好意を抱いている。

道成寺 権助（どうじょうじ けんすけ）
希世の双子の弟。実沙緒を好きだったが諦める。

葛葉 修平（くずのは しゅうへい）
葛葉一族の長。実沙緒に近づくが、匡に殺される。

葛葉 忠信（くずのは ただのぶ）
修平の兄。人間の恋人のために一族の長を辞退する。

城ノ内 蓮子（じょうのうち れんこ）
忠信の恋人。霊感がある。

原田 好生（はらだ よしお）
実沙緒の父。古文書の研究をしている。

原田 陽子（はらだ ようこ）
実沙緒の母。昔の匡を知っている。

渡辺 頼光（わたなべ らいこう）
実沙緒の父が世話になった寺の息子。妖怪を憎んでいる。

用語

仙果の娘（せんかのむすめ）
100年に一度生まれる特殊な体質の女性。妖に力を与え、一族の繁栄をもたらすと言われる。実沙緒がこの力を持つ。

仙果録（せんかろく）
葛葉一族が仙果の娘の嫁取りについて記した書物。物語の重要な鍵となる。

反魂の術（はんごんのじゅつ）
死んだ者を蘇らせる禁術。蘇った者は生前より大きな力を持つ。
保存の術
人間を仮死状態にする術。実沙緒の延命のために使われそうになる。

その他

ドラマCD化、舞台化もされており、幅広い展開を見せています。また、多くの番外編や小説も発表されており、作品の世界観がより深く描かれています。

この作品は、恋愛だけでなく、運命、種族を超えた愛、そして生きることの意味を問いかける、魅力的な物語です。登場人物たちの心情が丁寧に描かれており、読者の心を揺さぶります。

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