BMW・M62エンジン

BMW M62エンジン：洗練のV8、その系譜と搭載車種

BMW M62エンジンは、同社のV型8気筒エンジンシリーズにおいて、M60エンジンの後継として1996年から2005年にかけて生産された名機です。その滑らかな出力特性と力強いトルク、そして信頼性から高い評価を獲得しました。

M60からの進化：排気量とVANOS

先代のM60エンジンから大きく進化したのは、排気量の拡大と、BMW独自の可変バルブタイミングシステムであるVANOS（ヴァノス）の採用です。VANOSは吸気バルブの開閉タイミングを最適化することで、全回転域での出力向上と燃費効率の改善に貢献しました。この技術革新により、M62エンジンはよりスムーズでパワフルな走りを提供できるようになりました。

多様な車種への搭載：BMWのフラッグシップからSUVまで

M62エンジンの幅広い採用も特徴の一つです。BMWの主力車種である5シリーズ（E39）、7シリーズ（E38）、そしてスポーティな8シリーズ（E31）に搭載されたほか、当時としては画期的なSUVであったX5（E53）にも搭載され、その高いポテンシャルを様々な車種で発揮しました。 さらに、BMW以外のメーカーであるランドローバー・レンジローバーやモーガン・エアロ8にも採用されるなど、その信頼性と性能の高さが認められました。

バリエーションと搭載車種：細かなスペックの違い

M62エンジンは、排気量や出力特性の異なる複数のバリエーションが存在します。代表的なモデルとして、3.5LのM62B35、4.4LのM62B44、そして4.6LのM62B46があります。これらのエンジンは、搭載車種や年式によって微妙な仕様の違いがあり、出力やトルクも異なります。また、改良型のTUB型も存在し、環境規制への対応や性能向上などが図られました。

高性能版S62B50：M5への搭載

M62エンジンをベースに、BMWの高性能部門であるM社によって開発されたのがS62B50エンジンです。このエンジンは、E39型M5に搭載され、その圧倒的なパワーとスポーティな走りで高い人気を獲得しました。5.0Lの大排気量と、より高度なチューニングにより、M62エンジンとは一線を画す、強烈なパフォーマンスを実現しています。

まとめ：BMWの歴史を彩る名機

M62エンジンは、その高い信頼性、スムーズな出力特性、そして様々な車種への搭載実績から、BMWの歴史において重要な役割を果たしたエンジンと言えるでしょう。 M60エンジンの系譜を受け継ぎながら、VANOSシステムの採用によって更なる進化を遂げたこのエンジンは、多くのドライバーに喜びと感動をもたらしました。 また、M5に搭載されたS62B50エンジンは、その系譜を受け継ぐ高性能エンジンの先駆けとして、BMWのスポーツモデルの伝統を確立する上で大きな貢献をしました。

もう一度検索