BOV装甲兵員輸送車

BOV装甲兵員輸送車

BOV（ボルベノ・オクロプノ・ヴォジロ）装甲兵員輸送車は、旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国で設計された4輪式の装輪装甲車です。セルビア語とクロアチア語で「戦闘装甲車両」を意味します。

概要

BOVは、8名の完全武装した兵士を収容可能です。旧ユーゴスラビア時代には、ユーゴスラビア人民軍だけでなく、各共和国の領土防衛隊や治安部隊など、様々な準軍事組織で運用されていました。ユーゴスラビア解体後も、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビアなどの国々で、軍や警察、国家憲兵隊によって使用されています。

旧ユーゴスラビア構成国での採用が多いですが、バングラデシュが国連平和維持活動（PKO）に投入した事例もあります。実戦投入としては、1990年代に勃発したユーゴスラビア紛争が挙げられます。

派生型

BOVには、多様な派生型が存在します。

BOV-1: 9M14マリュートカ対戦車ミサイル発射機を6基搭載した対戦車車両です。
BOV-3: M55A4B1 20mm機関砲を3門搭載した自走式対空砲です。
BOV-30: 30mm機関砲を装備した対空車両です。
BOV-M: 警察用の装甲車で、暴動鎮圧を目的としています。機関銃、放水銃、催涙ガス弾発射機に加え、車体側面に展開可能な金網を装備しています。
BOV-M [TAB-71 Turret]: クロアチアで改修されたモデルで、ルーマニア製のTAB-71装甲兵員輸送車の砲塔を搭載しています。
BOV-SN: 戦場救急車仕様です。
BOV-P: 装甲兵員輸送車仕様の試作車です。
BOV-VP: 装甲兵員輸送車仕様の標準型です。
BOV-VP [Variant 1～5]: 治安部隊向けの仕様で、銃架に鋼鉄製防盾を装備したタイプや、サーチライト装備型、金網式の窓覆いを装備したタイプ、スラット装甲を排除したタイプ、エンジンデッキにラウドスピーカーを装備したタイプなど、様々なバリエーションがあります。
POLO M-83: BOV-1のクロアチア仕様です。

関連項目

装甲兵員輸送車
ユーゴスラビア紛争

もう一度検索