BRM・P207

1977年のF1世界選手権を舞台に、ブリティッシュ・レーシング・モータース（BRM）は、レン・テリー設計によるフォーミュラ1カー、BRM・P207を投入しました。このマシンは、自社開発の3リッターV12エンジンを搭載していましたが、その性能は期待をはるかに下回るものでした。

9レースに参戦したものの、予選を通過できたのはわずか1回のみ。ブラジルグランプリでは、ラリー・パーキンスが予選で22位という最下位ながらも辛くも予選通過を果たしました。しかし、決勝レースでは1周目にオーバーヒートによりリタイアを喫しました。その予選タイムは、21位だったアレックス・リベイロよりも6秒も遅いものであり、あるイギリス人ジャーナリストは、この結果に落胆し、イギリス人として恥ずかしいと発言したと伝えられています。このエピソードは、P207の性能の低さを象徴的に示す出来事となりました。

BRM・P207は、チームにとってF1世界選手権参戦における最後のマシンとなりました。ポイントを獲得することなく、そのF1での歴史に幕を閉じました。しかし、BRMの挑戦はここで終わらなかったのです。

1978年には、国内シリーズであるオーロラF1選手権に参戦。テディ・ピレットがステアリングを握り、4位と5位を各1回記録し、シリーズランキング13位という結果を残しました。これは、F1という最高峰の舞台で苦戦を強いられたチームが、国内シリーズでは健闘したことを示すものであり、BRMの技術力と、ドライバーの技量の高さを改めて証明する結果となりました。

なお、BRMの最後のF1マシンとして記録されているのはP230ですが、このマシンは実際にレースには参加しませんでした。P207は、サーキットを駆け抜けた最後のBRM F1マシンとして、その歴史に名を残すこととなったのです。

BRM・P207は、栄光に満ちたBRMの歴史の最後を飾る、物悲しいながらも重要な1ページを刻み込んだマシンと言えるでしょう。その低迷ぶりは、チームの衰退を象徴するものであり、同時に、F1という舞台の厳しさを改めて認識させる出来事でもありました。しかし、オーロラF1選手権での健闘は、決して諦めなかったBRMの闘志と、その技術力の片鱗を見せたものと言えるでしょう。 BRMの歴史において、そしてF1の歴史において、BRM P207は重要な意味を持つ、忘れがたいマシンとして記憶されています。

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