BT戦車

BT戦車の概要

BT戦車（ベーテーせんしゃ、ロシア語: Быстроходные танки）は、第二次世界大戦前にソ連によって開発された一連の戦車です。「BT」はロシア語で「素早い戦車」を意味する「Быстрый танк」の略称であり、赤軍では愛称の「ベテーシュカ」や「ベートゥシュカ」で知られていました。特に1937年型以降は、そのデザインからドイツ軍に「ミッキーマウス」というニックネームで呼ばれることもありました。

開発の背景

BT戦車の設計にはアメリカのジョン・W・クリスティーが関わっています。クリスティーは、M1928およびM1940といった戦車の開発を行い、その先進的なデザインはソ連やイギリスで評価されました。ソ連軍は1928年に、クリスティーの開発した装輪・装軌両用戦車の購入交渉を始め、結果として2両を購入。これを基に、1931年からハリコフで試験を行い、BT-2の開発に繋がりました。

BT戦車のバリエーション

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BT-2は最初の量産型として登場し、続いてBT-3、BT-4、BT-5、BT-7といった改良型が生まれます。それぞれの型は武装や装甲の強化が施され、最終的には7000輌以上が生産されました。BT戦車のデザインは、後に名作とされるT-34戦車への道を開くものとなりました。

実戦での応用

BT戦車はスペイン内戦やノモンハン事件、冬戦争など、多くの戦闘で使用されました。その高い機動力と火力は大きなアドバンテージとなりましたが、装甲の薄さから対戦車火器に対する脆弱性も抱えていました。特に、独ソ戦においては多くのBT戦車が前線で運用されたものの、戦術的な問題から多くが損失を被ったのが現実です。生き残ったBT戦車は、主に後方支援や訓練などに用いられました。

ドイツおよびフィンランド軍の利用

独ソ戦の開戦時に、ドイツ軍は多くのBT戦車を鹵獲しましたが、その復旧は限られており、実際の運用には問題を抱えていました。フィンランド軍は今回の戦争においてBT戦車を鹵獲し、自軍の戦力として使用。特にBT-7を改造した自走砲なども開発されています。

BT戦車の特徴と設計

BT戦車は、クリスティー戦車の高い機動力を引き継いでおり、大直径転輪を使用した懸架装置が採用されています。この設計により、履帯なしでも走行可能という特異な特徴を持ち、高速道路での移動にも対応。だが、履帯の取り外しには時間がかかるため、通常は装履帯で運用されました。

まとめ

BT戦車は、その開発背景と特異な機能によって、ソ連軍の機甲戦力を飛躍的に向上させることに寄与しました。またそのデザインと理念は、傑作戦車T-34の設計にも影響を及ぼしました。BTの歴史は、戦車兵器の発展を示す重要な一ページであり、戦争の中での評価とともに語り続けられています。

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