BT-5

BT-5（ベテー・ピャーチ）について

BT-5は、ソビエト連邦で1930年代に開発された快速戦車であり、特に騎兵部隊の支援や長距離侵攻のために設計されました。この戦車は、前モデルであるBT-2の火力を強化した改良型です。1932年秋に試作車が完成し、1933年から正式な生産が開始されました。生産総数は1,183両に達しました。

開発背景と改良点

BT-5は、BT-2のさまざまな方面での強化を目指して設計されました。特に、装甲の強度が改善され、溶接部分の信頼性が向上しました。BT-5の主武装には、対戦車砲を戦車砲向けに改造した45mm砲（M1932）が搭載されており、装甲貫通力が向上しています。砲塔の設計も見直され、内部容積が増加し、砲塔の大型化に伴い旋回機構も人力からハンドルによるものに変更されました。

また、BT-5は砲塔の後ろにバスルと呼ばれる張り出し部を設け、指揮官用のBT-5TUでは無線機を収納できるスペースも確保されました。ただし、この無線機は戦闘中には使いづらいという問題がありました。車体のデザインは、他のソ連戦車と共通点が多く、BT-5の外貌は時代を代表するものとなっています。

実戦での使用

BT-5は1937年のスペイン内戦で初めて実戦に投入され、義勇特別戦車連隊として57両が派遣されました。これに続いて、様々な戦役で使用され、特に日本とのノモンハン事件においては、その機動力と火力を駆使して活躍しましたが、装甲防御力の不足から多くの損失が発生しました。ノモンハン事件では、127両が全損、あるいは大きな損害を受け、結果的に全体の37%がダメージを受けるという結果に終わりました。

その後、BT-5はフィンランドに対する冬戦争やドイツの侵攻にも参加しましたが、性能の陳腐化や装甲の脆弱さが露呈し、次第に戦闘での役割が減少しました。

バリエーションと特異点

BT-5には、近接支援用のBT-5Aや水陸両用型、ロケット弾を装備したRBT-5などのバリエーションが試作されましたが、量産には至りませんでした。これらのバリエーションは専門的な役割を持とうとしたものの、実戦投入の機会は限られていました。

BT-5の文化的影響

BT-5はその人気から、現在もゲームや漫画、映画などで描かれることがあります。例えば、『World of Tanks』や『War Thunder』などのゲームではBT-5が登場し、その歴史を再現しています。映画『劇場版 幼女戦記』では、この戦車の特異なデザインが視覚的に表現されています。

さて、BT-5の開発理由や戦闘経歴を振り返ると、技術的な改良が実戦にどのように影響を与えたのか、興味深い歴史を持つ戦車であることがわかります。BT-5は、ソビエト戦車の進化の一端を担った重要な存在であり、今なお多くの人々に記憶されています。

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