Better Portable Graphics

BPG: 高圧縮率を誇る画像フォーマット

BPG（Better Portable Graphics）は、ファブリス・ベラール氏によって2014年に開発された画像ファイルフォーマットです。既存のJPEGよりも高い圧縮率を実現することを目標に設計されており、動画圧縮技術として知られるHigh Efficiency Video Coding（HEVC）の技術を応用しています。

HEVCとの関係性

BPGは、HEVCの静止画圧縮プロファイル、特にMain 4:4:4 16 Still Pictureプロファイルをベースにしています。HEVCは、Main Still Picture、Main 4:4:4 Still Pictureなど、様々なビット深度と色空間をサポートするプロファイルを持つことで知られていますが、BPGはこれらのプロファイルのうち、最大14ビットのサンプル深度に対応するMain 4:4:4 16 Still Pictureプロファイルを基本としています。いわば、このプロファイルをより一般的な画像フォーマットとして扱いやすくパッケージングしたと言えるでしょう。

BPGの仕様と特徴

BPGは、HEVCが用いる生のビットストリームフォーマットとは異なり、一般的な画像フォーマットとして使いやすいように設計されています。具体的には、以下の特徴を持っています。

色空間サポート: 4:4:4、4:2:2、4:2:0といった様々な色空間をサポート。アルファチャンネルやCMYKといった拡張色空間にも対応しています。
メタデータサポート: EXIF、ICCプロファイル、XMPといったメタデータの保存に対応しています。これにより、撮影日時やカメラの設定、カラープロファイルなどの情報を画像ファイルに埋め込むことが可能です。
色空間の多様性: ITU-R BT.601、BT.709、BT.2020（一定でない輝度）で定義されるYCbCr、YCgCo、RGB、CMYK、グレースケールなど、幅広い色空間をサポートします。
圧縮方式: HEVCの非可逆圧縮と可逆圧縮の両方をサポートしています。非可逆圧縮はファイルサイズを小さくする一方で、わずかな画質の劣化が避けられません。一方、可逆圧縮は完全に元の画質を保持します。

特許の問題

BPGは、HEVCの特許の一部を利用していると考えられており、これが普及を妨げる要因の一つとなっています。LWN.netといった技術系ニュースサイトでは、BPGは技術的にはJPEGを上回ると評価しながらも、特許の問題からJPEGを完全に置き換えるのは難しいだろうという見解を示しています。

BPGを利用するためのアプリケーション

BPGを扱うためのソフトウェアは、開発者自身によるものや、サードパーティ製のものなど、いくつか存在します。

ビューアー:

bpgview.exe（開発者による純正ビューアー）
Honeyview

コンバーター:

bpgdec.exe、bpgenc.exe（開発者による純正デコーダーとエンコーダー）
ImageMagick
Romeolight BPGconv
Bandisoft Honeyview

ライブラリ、プラグイン:

bpgdec8.js、bpgdec.js、bpgdec8a.js（開発者によるJavaScriptライブラリ）
ifbpg.spi（Susieプラグイン）

BPGは、高圧縮率と高画質を両立する魅力的なフォーマットですが、特許問題という課題を抱えています。それでも、その優れた技術は多くの開発者やユーザーに支持されており、今後の発展が期待されます。

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