Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry

「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」は、日本の学術団体である日本農芸化学会が発行する、国際的な査読付き科学学術雑誌です。略称として「BBB」が用いられることもあります。生物科学、バイオテクノロジー、生化学といった広範な分野における最先端の研究成果を世界に向けて発信しており、これらの領域における学術的発展に大きく貢献しています。

本誌の歴史は古く、その源流は1924年に「Bulletin of the Agricultural Chemical Society of Japan（日本農芸化学会紀要）」として創刊された雑誌に遡ります。その後、時代と共に学術分野の発展や国際化に対応するため、名称変更が行われました。1961年には「Agricultural and Biological Chemistry」と改められ、さらに1992年に現在の「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」という名称となりました。この名称の変遷は、本誌が農芸化学の枠を超え、より広範なバイオサイエンス関連分野を包含し、国際的な認知度を高めてきた軌跡を示しています。

「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」が取り扱う研究領域は非常に多岐にわたります。具体的には、動物、植物、微生物などが示す様々な生命現象の解明、それらの生物が産生する物質の化学構造や機能の解析、そしてそれらに関連するあらゆる事柄に対する化学的および生物学的な研究論文が掲載されています。日本農芸化学会が活動する主要な分野である、有機化学、生物有機化学、酵素学、動物科学、物理化学、分析化学、生体高分子科学、食品科学、微生物学（ウイルス学を含む）、植物科学、環境科学といった幅広い領域における、優れた基礎研究および応用研究の成果が本誌を通じて世界の読者に届けられます。これにより、これらの分野における日本の研究力を世界に示し、国際的な学術交流を促進する重要な役割を担っています。

近年の出版体制においては、さらなる国際化と効率化が図られています。2021年からは、世界的に著名な学術出版社であるOxford University Press社に編集出版事業の委託を開始し、これに伴い雑誌のデザインも一新されました。この提携により、論文の投稿・審査プロセスがより洗練され、採択された論文はオンライン版に迅速に掲載されるようになりました。論文採択からオンライン公開までにかかる時間は、現在ではわずか1週間程度と、非常にスピーディーです。また、オンラインに掲載された論文は、世界中の研究者が利用する主要なデータベースであるPubMedをはじめ、様々な学術データベースに24時間以内に収録されます。これにより、本誌に掲載された研究成果は公開後すぐに世界中の研究者によって閲覧され、引用されることが可能となり、研究成果の普及と影響力の向上に大きく貢献しています。

本誌では、特定の研究テーマに焦点を当てた特集号も定期的に企画・発行しています。2016年以降、概ね1年に1回程度の頻度で特集号が組まれており、その時々のホットな研究分野や注目すべき研究領域が深く掘り下げられています。例えば、近年発行された特集号には、「Natural Product Chemistry」（2021年）、「Expansion and Foresight of Zymology/Zymurgy」（2019年）、「Recent advances in isoprenoid studies」（2018年）、「Functional Food Science」（2018年）、「Food Engineering Science」（2017年）、「Fungal Molecular Biology and Biotechnology」（2016年）などがあります。これらの特集号は、当該分野の研究者にとって重要な情報源となるとともに、分野全体の発展を促進する役割を果たしています。

「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」に掲載された論文は、PubMed以外にも多数の重要な学術データベースに収録されています。これにより、世界中の研究者が容易に本誌の論文を検索・発見することができ、研究活動における引用や参照が促進されています。

学術雑誌の影響力を示す指標の一つであるインパクトファクターについても、本誌は着実に実績を上げています。例えば、2020年のインパクトファクターは2.043を記録しており、関連分野における本誌の一定の評価を示しています。本誌は、今後も農芸化学および関連バイオサイエンス分野の発展に寄与し、世界の学術界におけるその存在感を高めていくことが期待されます。

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