BofA証券

BofA証券株式会社（ビーオブエーしょうけん）は、米国を代表する金融グループ、バンク・オブ・アメリカを親会社とする日本の証券会社です。主に機関投資家や法人顧客を対象とした投資銀行業務、すなわちホールセール事業を専業としています。本社機能は、親会社の日本拠点であるバンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイ 東京支店と同一の場所に置かれています。

沿革

同社の源流は、米国の金融大手であるメリルリンチが日本市場へ参入した1961年に遡ります。その後、1972年6月にはメリルリンチ証券の東京支店が日本の証券業免許を取得し、本格的な営業活動を開始しました。この時期の事業は、主に法人顧客向けのサービスに特化しており、個人投資家向けの取引（リテール）はほとんど手掛けていませんでした。

転機が訪れたのは、1997年11月の山一證券経営破綻です。メリルリンチは、この破綻を機に日本の個人向け証券市場へ本格的に進出する戦略を描き、1998年2月にメリルリンチ日本証券株式会社を設立しました。設立当初は、旧山一證券が保有していた広範な支店ネットワークの大半を引き継ぎ、さらに多くの元山一證券社員を営業担当者として採用したことが大きな話題となりました。

しかし、旧山一證券の企業風土であった連帯責任を重んじる文化と、メリルリンチ側が重視する「個人の責任、原因、役割の明確化」という考え方との間に軋轢が生じ、多くの社員が組織を離れる事態が発生しました。これに伴い、引き継いだ支店網も段階的に整理・統合されていきました。また、後述するリテール部門の事業譲渡により、その支店網も譲渡先に移管されたため、2010年時点では東京と大阪の2拠点体制となっていました。

2001年3月には、メリルリンチ証券の東京支店が担っていた業務がメリルリンチ日本証券に統合され、法人向け・個人向けの両事業を手がける総合証券会社として体制が整えられました。

しかし、総合証券としての期間は長くは続きませんでした。2006年5月、同社の個人向け事業（リテール部門）は分割され、新たに設立された三菱UFJメリルリンチPB証券へ事業が譲渡されたのです。これにより、同社は再び法人向けビジネスに特化したホールセール専門の証券会社へと回帰しました。さらに、2012年末には、三菱UFJメリルリンチPB証券の全株式を三菱UFJフィナンシャル・グループへ売却し、日本国内における個人向け証券事業から完全に撤退する形となりました。

市場に関連するインシデントとしては、2018年10月9日に東京証券取引所に対し、システム上の問題により、通常の数千倍に及ぶ大量のデータを誤って送信する事象が発生しました。この誤送信は東証のシステムの一部に障害を引き起こし、国内の多くの証券会社が一時的に株式取引を停止せざるを得ない状況に追い込まれる影響を及ぼしました。

そして、2020年11月1日、親会社であるバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが商号をバンク・オブ・アメリカに変更し、グローバル全体でブランド名を「バンク・オブ・アメリカ」に統一したことに伴い、日本法人であるメリルリンチ日本証券株式会社も、現在の「BofA証券株式会社」へと商号を変更し、現在に至ります。

もう一度検索