Brave (ウェブブラウザ)

Brave（ブレイブ）とは

Braveは、Brave Softwareが開発するオープンソースのウェブブラウザです。Chromiumをベースとしており、広告とトラッカーのブロック機能を標準で備え、プライバシー保護と高速なブラウジング体験を提供することを目指しています。Windows、macOS、Linux、iOS、Androidなど、幅広いプラットフォームに対応しています。

歴史

Braveは、JavaScriptの開発者として知られるブレンダン・アイク氏が2015年に設立したBrave Softwareによって開発が始まりました。2016年にはiOS版とAndroid版がリリースされ、その後、シードラウンドでの資金調達やICOによる巨額の資金調達を経て、急速に成長しました。2018年には、ベースとなるエンジンをMuonからChromiumへと移行し、機能性とパフォーマンスを大幅に向上させました。2021年には、独自の検索エンジン「Brave Search」をリリースするなど、積極的に新しい技術や機能を取り入れています。

主な機能

Brave Shields

Brave Shieldsは、広告やトラッカーをブロックし、ユーザーのプライバシーを保護するための機能です。具体的には、以下の機能を提供します。

広告とトラッカーのブロック（Easylist、Easy Privacy）
サードパーティCookieのブロック
フィンガープリント追跡の防止（Privacy Badger）
HTTPS接続への自動切り替え（HTTPS Everywhere）
悪意のあるコードの実行阻止

これらの機能は、サイトごとに手動で有効/無効を切り替えることが可能です。

プライベートブラウジングモード

Braveのプライベートブラウジングモードでは、検索履歴が保存されず、DuckDuckGoなどのプライバシー重視の検索エンジンが利用されます。また、Torを利用することで、接続経路を秘匿することも可能です。2021年からは、独自の検索エンジン「Brave Search」への移行が進められています。

Brave Talk

Brave Talkは、ブラウザ上で利用できるビデオ通話機能です。無料版では、最大4名まで時間無制限でミーティングが可能です。

拡張機能

Chromiumベースであるため、Google Chrome向けの豊富な拡張機能を利用することができます。

同期チェーン

Braveには、ブックマークやパスワードなどのデータを複数のデバイス間で同期できる独自の機能があります。同期データは暗号化された状態でBraveのサーバーに保存されます。パスフレーズやQRコードを用いて、新しいデバイスを同期チェーンに参加させることが可能です。

Brave Firewall + VPN

サブスクリプションサービスとして提供されているBrave Firewall + VPNは、ユーザーのWebトラフィックを暗号化し、IPアドレスを隠すことで、プライバシーとセキュリティを強化します。

Playlist

Playlist機能は、動画やオーディオメディアをオフラインで再生できる機能で、iOS版で実装されています。

Brave Search

Brave Softwareが開発した独自の検索エンジンです。2021年にベータ版がリリースされ、その後、Braveユーザーのデフォルト検索エンジンとして採用されました。

Brave Wallet

ブラウザに組み込まれた暗号資産ウォレットです。ユーザーは、暗号資産のポートフォリオ管理や取引を行うことができます。

Brave Leo

Braveブラウザに搭載されたAIチャットボットです。Webページの要約、翻訳、コンテンツ生成など、様々なタスクをサポートします。Meta AIのLLaMAとAnthropicのClaude LLMをベースに開発されています。

Basic Attention Token (BAT)

BATは、Braveブラウザ内で利用できるユーティリティトークンです。Brave Adsを閲覧することでBATを獲得でき、コンテンツクリエイターへのチップとしても利用できます。獲得したBATは、取引所を通じて現金化することも可能です。

ビジネスモデル

Braveは、広告をブロックする代わりに、プライバシーを保護した広告を配信するという独自のビジネスモデルを採用しています。ユーザーは、広告の表示頻度や種類を選択でき、表示を選択した場合は、広告収益の一部がBATとしてユーザーに分配されます。また、Webサイトへの寄付システムも提供しています。Braveは、広告ブロッカーとしてだけでなく、広告収益をユーザーと共有する新しい広告の形を提案しています。

反響

Braveのユニークなビジネスモデルは、賛否両論を呼んでいます。一部のメディアからは、自社の広告を表示するために他社の広告をブロックするのは偽善的であるという批判もありますが、Braveは、Webサイトの収益を損なうことなく、ユーザーにプライバシーと報酬を提供することを目指しています。

問題と派生

過去には、アドレスバーの自動補完機能にアフィリエイトコードを不正に追加していた問題が発覚しました。Brave側はこの問題を謝罪し、修正を行いました。また、一部の開発者は、「トークン無し、広告ウェア無し、アフィリエイト広告リンク無し」をモットーとしたBold Browserを立ち上げましたが、開発は停滞しています。