B級

B級（びーきゅう）

「B級」とは、上質なものや最高級品には達しないが、かといって粗悪品や取るに足らないほどでもない、中程度のレベルにある物事を指して用いられる俗語です。主に様々な分野において、その対象の程度や質を評価する際に使われます。

概要とニュアンス

この言葉は、映画制作における分類に由来するとされますが、日常的な俗語として使われる際には、その定義や適用範囲に曖昧さが伴うことがあります。例えば、特定の映画が「B級映画」と呼ばれる場合でも、それは評論家の評価であったり、ジャンルとして扱われたりすることが多く、作り手や熱狂的なファンが自らを「B級」と称しているとは限りません。

「B級」という言葉には、二つの相反するニュアンスが含まれることがあります。一つは、一流品に及ばないものとして一段低く見る、いわゆる「卑下」の意味合いです。もう一つは、価格に対して品質が高い、コストパフォーマンスの良さなど、「A級」と呼ばれる高品質だが高価なものと比較して優れている、という「自負」の側面です。ただし、後者の肯定的な意味合いだけで使われるケースは少なく、多くの場合、強烈な感動や感銘を与えるほどではないものの、なぜか心に引っかかり、意識せざるを得ないような独特の個性や魅力を持つ対象に対して、好んで使われる傾向があります。

愛好者層と情報発信

「B級」と評されるものの多くには、熱狂的な愛好者が存在します。ある意味では、あまりにもマニアックであるために、一般的な人々からの広い支持を得にくい性質を持っているとも言えます。こうした愛好者層は、かつては雑誌の投稿コーナーや同人誌、あるいは熱心なファン（いわゆる「おたく」）の活動などを通じてその存在が顕著になっていました。しかし、インターネットの普及に伴い、特定のB級ジャンルに特化したウェブサイトやブログなどでの情報発信が容易になったことで、より活発な情報交換や交流が行われるようになっています。

単なる序列を示す用法

「B級」という言葉は、必ずしも質的な評価だけでなく、単に序列や等級を示すために使われることもあります。例えば、音響機器における増幅回路にはA級やB級といった分類がありますが、これは最初に開発されたものをA級とし、その次に位置づけられた設計（特性はA級より劣り、ゼロクロスひずみが生じるなどの特徴がある）をB級と命名したことに由来します。また、戦時中の戦犯の分類における「B級戦犯」なども、特定の種類の戦犯を区別するための呼称であり、必ずしも「二番目に悪い」という意味ではありません。

「B級」という価値観の広がり

近年、人々の価値観が多様化するにつれて、こうした「B級」に対する評価や表現が増える傾向が見られます。特に映画分野では、レンタルビデオの普及などにより低予算で様々な作品に触れやすくなった1980年代以降、「B級映画」という言葉が単なる低品質の烙印ではなく、時には特定の魅力を称賛するニュアンスも含む表現として広く一般に用いられるようになりました。元来は、1932年から1947年頃にかけてアメリカで短期間かつ低予算で制作された映画を指す、映画業界内部の専門用語でした。

「B級映画」は、熱狂的なファンを持つ作品を指す「カルト映画」と関連付けられることもあります。カルト映画は、低予算ながら観る者を惹きつける独特の要素があったり、ブレイク前の俳優が出演していたり、異分野の著名人が主演していたりといった意外性やギャップが魅力となっている場合もあります。しかし、「B級映画」という言葉には「一流の作品に比べて質が低い」という側面も含まれており、公開直後に酷評され、人々の記憶から消え去ってしまった作品も少なからず存在します。

映画以外の分野に目を向けると、「B級グルメ」や「B級スポット」といった言葉がよく知られています。これらもまた、熱狂的なファンを持つ一方で、一般的に「上質」とは言いがたい側面を持つものです。例えば、食通が舌鼓を打つような高級料理や洗練された味わいが「A級グルメ」だとすれば、「B級グルメ」は「近所にある評判のラーメン店」や「意外に侮れないコンビニエンスストアのスナック菓子」など、より身近で手頃な価格帯の大衆的な食を指します。「B級スポット」も同様に、洗練された観光地というよりは、どこか怪しげであったり、素朴であったりする独特の魅力を持つ場所を指します。

序列について

多くの場合、「B級」は「A級」の次、すなわち二番目のランクを指すことが多いです。しかし、S級やAA級といった更なる上位ランクが存在する場合は、三番目やそれ以下の順位を示すこともあります。例えば、将棋の順位戦ではA級の上に位置するS級はありませんが、B級はB級1組、B級2組に分かれており、その下にC級が存在します。

使用例

B級映画
B級ホラー
B級グルメ
B級スポット
B級戦犯

B級